不動産投資におすすめ地域を探すポイントを解説!物件選びのコツも
不動産投資の成功の可否は、物件選びにかかっていると言っても過言ではありません。特に重要なのが物件の場所、「地域」です。不動産投資に適した地域を選ぶことで、安定した家賃収入を得られる可能性が高まります。
今回は不動産投資におすすめの地域を探すポイントや、地域以外で物件を選ぶ際のコツを解説します。
不動産投資におすすめの地域を探すポイント
不動産投資におすすめの地域とは、ずばり「賃貸需要がある地域」です。不動産投資のおもな収入源は、入居者から得られる毎月の家賃収入です。安定した収入を確保するには、できるだけ空室を出さないことが重要です。
ここでは、「賃貸需要が高い不動産投資におすすめの地域」を探す際のポイントについて解説します。
人口が集中している地域
不動産投資のおもな収益は入居者からの家賃収入です。そのため不動産投資をする際は、人口が集中している地域を狙う必要があります。人口が少ない地域は賃貸需要も少ないため賃貸経営が成り立たず、家賃収入を得ることもできません。
少子高齢化が著しい現在の日本では、年々人口が減少しています。総務省が発表した『人口推計(2022年(令和4年)10月1日現在)』の結果によると、総人口は55万6千人の減少しており、12年連続の減少減少幅が11年連続で拡大しています。
特に人口減少が顕著な地方で不動産投資をおこなう際は、エリアの人口動態に注意が必要です。すでに人口の流出がすすみ人口が減少している地域は賃貸ニーズが低く、空室リスクの懸念があるため不動産投資には向きません。
不動産投資を成功させるのであれば、できるだけ人口が集中している地域を選ぶことが肝心です。
人口動態については、総務省や対象エリアの各市町村ホームページで確認できます。不動産投資をおこなう地域を決める際は、かならず確認しましょう。
参考:総務省『人口推計(2022年(令和4年)10月1日現在)』
単身世帯の需要が多い地域
地域にもよりますが、賃貸物件に住む世帯は、ファミリー層より単身世帯が多いです。
国土交通省住宅局が令和3年3月に発表した『令和2年度 住宅市場動向調査』によると、民間賃貸住宅の平均居住人数は単身世帯が44.3%ともっとも多く、次いで2人世帯が27.3%でした。
賃貸住宅だけでなく、令和2年(2020年)の国勢調査の結果の一般世帯数を世帯人員別にみると、世帯人員が1人の世帯が 38.0%と最も多くなっています。
なお、世帯人数の平均は地域によって異なり、東京都や大阪府といった大都市ほど単身世帯が多い傾向です。
参考:国土交通省住宅局が令和3年3月に発表した『令和2年度 住宅市場動向調査』
参考:総務省統計局『令和2年国勢調査 人口等基本集計結果 結果の概要』
また、国土交通省発表の『国土の長期展望 中間とりまとめ概要 平成23年2月21日』からも、引き続き単独者世帯は年々増加するとの予測が出されています。
引用:国土交通省『国土の長期展望 中間とりまとめ概要 平成23年2月21日』
これらのデータから、これから不動産投資をはじめるのであれば、ファミリー世帯よりも単身世帯をターゲットにすることで効率よく入居者を確保できることがうかがえます。
利便性が高い地域
交通の便がよく、周辺に生活に必要な環境が揃っている地域は、入居者に選ばれやすいです。
たとえば、都心まで乗り換えなしで通勤できる、複数路線が利用できるなど、通勤や通学に便利な地域は人の流れが盛んなため賃貸需要が高く、空室リスクをおさえることにつながります。
また大型商業施設や銀行・郵便局、病院などにアクセスしやすい地域も賃貸ニーズが高いです。
なお、大学や大手企業の向上などがある地域は、学生や従業員をターゲットにすることで安定した賃貸需要が期待できます。ただし、賃貸需要を1か所だけに依存してしまうと、大学や企業が移転・規模縮小した場合、急激に賃貸重要が減少する危険性があるため注意が必要です。
将来的に売却が見込める地域
不動産投資では月々の家賃収入を得るだけでなく、所有する物件を売却して「売却益(キャピタルゲイン)」を狙うことも可能です。
売却益を期待して不動産投資をおこなう場合は、将来的に売却できる可能性が高い地域の物件を検討する必要があります。
たとえば、近隣で再開発がおこなわれる予定の地域などは、将来的に地価が上がる可能性もあるため売却益も期待できます。
なお、売却を前提に収益物件を選ぶ際は、できるだけ築年数の経っていない物件を選びましょう。耐用年数を超えた築古物件は金融機関の融資が付きにくいため、買い手がつかない可能性があるため注意が必要です。
災害リスクの低い地域
不動産投資で収益物件を選ぶ際は、災害リスクの低い地域を選びましょう。
地震や風水害、津波、土砂災害などの被害を受けてしまうと多額の修繕費が発生する可能性があります。最悪の場合は賃貸経営をつづけられなくなるおそれもあります。
そういった被害を最小減におさえるためにも、できるだけ災害リスクが低いエリアを選ぶことは大切です。
なお災害リスクの低い地域を確認するには、『ハザードマップポータルサイト(国土地理院)』や各自治体が提供するハザードマップが便利です。収益物件を検討する際はかならず確認しましょう。
不動産投資におすすめの地域3選
ここでは、人口の増減や空き家率、利回りの点からみた「不動産投資におすすめの地域3選」を紹介します。
ただし同じ県内であっても人口の減少率や利回りは、地域で異なることが予想されます。そのため、収益物件を選ぶ際は、都道府県という大きなくくりに加えて、各市区町村が公開している人口動態調査や物件個別の利回りなどを参考にして物件を探す必要があることを覚えておきましょう。
沖縄県
国立社会保障・人口問題研究所が発表した『日本の地域別将来推計人口(平成 30年推計)』の予測推移によると、2045年の総人口が2015年を上回る市区町村は大都市とその郊外ならびに沖縄県であると予測されています。
ただし、2045年には沖縄県も東京都も人口が減少しますが、東京都と沖縄県は他県に比べると減少率が少ないとみられています。
また総務省統計局が発表した『住宅数概数集計(平成30年) 空き家率』では、沖縄県が「空き家率の低い都道府県」の第2位にランクインしています。
加えて沖縄県は日本を代表するリゾート地でもあり、通常の賃貸物件のほか、リゾート用マンスリーマンションやウィークリーマンションなどの不動産投資も検討できるでしょう。
少し変わったところでは、「軍用地」に投資することも可能です。
軍用地について詳しくはこちら!>>軍用地で不動産投資をおこなうメリット・デメリット!始め方を解説
参考:国立社会保障・人口問題研究所『日本の地域別将来推計人口(平成 30年推計)』
参考:総務省統計局『住宅数概数集計(平成30年) 空き家率』
神奈川県横浜市
東京都に隣接した埼玉県、千葉県、神奈川県は人口が増加傾向にあります。また大企業や大学などの教育機関も多数集中しています。
特に『SUUMO住みたい街ランキング2023 関東版』で6年連続1位に輝いた神奈川県横浜市は、都心部へのアクセスもよく、みなとみらいエリアの商業施設や横浜中華街など観光スポットも多数ある人気エリアです。
利便性では東京都と比べても遜色がなく、それでいて家賃相場は東京都内よりも割安なのも魅力です。また2023年3月には、相鉄・東横線直通線が開通したことで利便性の向上とともに人流も活発化しています。
東京都を囲む3県のなかでもおすすめの地域のひとつです。
参考:総務省統計局『令和2年国勢調査 人口等基本集計結果 結果の概要』
愛知県名古屋市
名古屋市も不動産投資におすすめの地域です。
東京圏、大阪圏、どちらにもアクセスがよい大都市でありながら、家賃や物価が安いというメリットがあります。
東京や大阪などの都心部と比較すると名古屋市の物件価格が低い傾向にあるため、高い利回りが期待できるでしょう。
またリニア・モーターカーの開通(東京~名古屋間の開業は2027年、大阪―名古屋間は2045年の開通予定)を目指し、駅周辺の再開発が急ピッチですすめられています。それにともない人口が増加しているのも、不動産投資で名古屋市をおすすめする理由のひとつです。
不動産投資で失敗しない物件選びのコツ
地域と並び、不動産投資を成功させるカギとなるのが「物件選び」です。賃貸需要のある地域にある物件であっても、選び方を間違えてしまうと空室リスクが高まるため注意が必要です。
ここでは失敗しない物件選びのコツを解説します。
設備が整っている物件を選ぶ
入居者が賃貸物件を選ぶ際に重視するのが「設備」です。入居者によって重視する設備は異なりますが、おもに以下のポイントがチェックされやすいです。
安全であるか:オートロックや防犯カメラ、モニター付きインターホンなどの有無
便利であるか:風呂の追い炊き機能、宅配ボックス、24時間ゴミ出し可能であるか、など
快適であるか:エアコンや浴室乾燥などの有無、バストイレ別・独立洗面台であるか、など
たとえば、女性の単身者をターゲットにした物件では、セキュリティ関連の設備を充実させることで入居希望者が集まりやすくなるでしょう。
ファミリー層をターゲットにする場合は、追い炊き機能付きの風呂やシステムキッチンなどの設備が好まれます。
入居者ターゲットを絞ったうえで、どういった設備が必要か考えたうえで物件を検討するとよいでしょう。
管理状態のよい物件
中古物件を購入する場合は、建物のメンテナンスや管理状況を確認しましょう。
物件の建物や設備は経年とともに劣化していくため、その都度や定期的な修繕が欠かせません。もし必要な修繕がおこなわれていない場合は、築年数に比べて傷みがひどかったり、破損していたりすると、購入してから大きな修繕費が発生する可能性もあるため注意が必要です。
また、物件の管理を管理会社に委託している場合は、以下の点をチェックしましょう。
共用部(エントランスや階段、ゴミ置き場など)の清掃はきちんとおこなわれているか
入居者からのクレーム対応(設備の修理依頼や入居者同士のトラブル対応など)は適切におこなわれているか
入居者募集はうまくいっているか
共用部の清掃やクレームなどの入居者対応がしっかりおこなわれていないと入居者の不満につながり、短期間で退去されてしまうおそれがあるため注意が必要です。
空室期間が長引く場合は入居者募集になんらかの不備がある可能性もあるため、募集活動の内容を確認するなど、なんらかの対策が必要になります。
物件を選定する際は、過去の修繕履歴をチェックしたり、レントロールで入退去の状況を確認したり、現在委託している管理会社の実績や管理体制を確認しましょう。
相場に適した利回りの物件
不動産投資における利回りとは、物件価格に対して、1年で得られる収入や利益の割合を指し、投資用不動産物件を選ぶ上で大切な指標となる数値です。
高利回りのほうが投資で得られる利益率は高くなりますが、利回りが高いからといって一概に優良物件=儲かる物件であるとはかぎりません。
相場よりも利回りが極端に高すぎる物件には注意が必要です。建物の状態が古かったり、設備が古すぎたり、立地が悪かったり、なんらかの理由で入居者が決まらず、売主が物件価格を大幅に下げて売り出していることも大いに考えられます。
こういった、価格が安い高利回り物件の場合、購入後に修繕や設備の交換に高額の費用がかかり、最終的には利回りが大幅に下がってしまうことも少なくありません。
物件購入前はかならず現地に行き、物件と設備を直接確認したり、修繕履歴を確認したりといった調査をしっかりとおこなったうえで、購入するかどうか検討することが大事です。
利回りが高い物件が必ずしも収益性も高いとはかぎらないことを覚えておきましょう。
なお不動産投資では、おもに「表面利回り」と「実質利回り」の2種類が使われます。
表面利回りとは
年間の家賃収入を不動産の購入価格で割ったもので、表面利回りの計算には経費は反映されていません。
【表面利回りの計算方法】
表面利回り(%)= 年間の家賃収入 ÷ 物件の購入価格 × 100
不動産情報などに記載されている利回りのほとんどが表面利回りです。
不動産投資の利回りについて詳しくはこちら!>>不動産投資の実質利回りと表面利回りの違いは?シミュレーション比較
実質利回りとは
物件購入時の諸費用や運用時の経費を反映して計算されるため、「物件購入時の出費に対して、手元に残るお金のおおよその金額」を把握する際の指標となります。
【実質利回りの計算方法】
実質利回り(%)= (年間家賃収入 - 経費)÷( 物件価格 + 諸費用 ) × 100
ただし、家賃以外の諸費用や経費は明確ではありません。また空室率も考慮されていないため、あくまでの「実際に近い数値」であることを留意しておきましょう。
不動産投資の利回りについて詳しくはこちら!>>不動産投資の実質利回りと表面利回りの違いは?シミュレーション比較
都心と地方どちらがおすすめ地域?
不動産投資を始めるにあたって、都心の物件と地方の物件、どちらに投資するべきか悩む人も多いのではないでしょうか。結論から言うと、どちらにも一長一短があり、「こちらがよい」と断定することはむずかしいです。
都心と地方、どちらで不動産投資をおこなうかは、それぞれのメリットとデメリットを十分比較し、理解したうえで、自分に向いているほうを選ぶとよいでしょう。
ここでは都心物件と比較した地方物件のメリットとデメリットを解説します。
都心物件と比較した地方物件のメリット
H4比較的安い価格で物件を購入できる
地方の収益物件に投資する最大のメリットは、東京など首都圏の物件に比べて価格が安い点です。東京では区分マンションしか購入できない予算でも、地方では一棟アパートが購入できるケースもあります。
価格は同じでも、1室だけ所有する区分マンションよりも複数室ある一棟アパートのほうが家賃収入は高くなります。また区分マンションは入居者がいない場合の家賃収入は0円ですが、一棟アパートであれば複数室のうち1室が空室でも、それ以外の部屋に入居者がいればその分の家賃が得られるため、空室対策にもつながるのです。
都心の物件よりも利回りが高い
先に述べたように地方物件は都心物件よりも価格が安く、そのため利回りが高くなります。
下記は一般財団法人日本不動産研究所が不動産投資家や不動産投資関係者を対象に6ヶ月ごとにおこなっている投資用不動産の利回り動向の調査結果です。
これによると東京都(城南)のワンルームタイプの期待利回りは3%台ですが、札幌市や仙台市、広島市などの地方物件の利回りは5%を超えています。
引用:一般財団法人 日本不動産研究所『第48回 不動産投資家調査(2023年4月現在)』
また物件価格が安いということは、金融機関から融資を受けて不動産投資をする場合、借り入れ金額が少なく済むことにもなります。そのため毎月のローン返済のリスクや金利をおさえられるのも地方の物件に投資するメリットです。
都心物件と比較した地方物件のデメリット
空室リスクが高い
東京や大阪に比べると人口が少ない地方では、地域や物件を間違えて選んでしまうと空室リスクが高まるので注意が必要です。
特に人口の減少が著しいエリアでは賃貸需要が見込めず、空室期間が長期化する傾向が強くなるため注意が必要です。
地方で不動産投資をおこなう際は、人口動態をしっかり確認し、できるだけ人口の減少率が低い地域を選びましょう。
売却したくてもできない可能性もある
都心部と比較すると地方では不動産の取引数が少なく、物件を売りたくても買手が見つからないケースもあるため注意が必要です。
特に損切りで売却を検討する場合、売れなければその分の赤字が増えてしまいます。地方で不動産投資をおこなう際は、あらかじめ物件の売却まで見据えて物件を選び、しっかりとした出口戦略を立てておくことが重要です。
まとめ
不動産投資におすすめ地域を探す際は、人口が集中した利便性がよく、災害リスクの少ないエリアを選びましょう。また地域だけでなく、物件の状態や管理体制からも判断する必要が」あります。
具体的なおすすめ地域として、沖縄県、横浜市、名古屋市を紹介しました。ただし、同一県内、同一市内でも、エリアによって物件価格や利回りなどは異なります。収益物件を選ぶ際は、こまかな範囲で利回りや賃料相場などを確認したうえで購入するとよいでしょう。