不動産投資ローン利用に関する基礎知識!メリットや審査内容を解説
2022/08/05

不動産投資ローン利用に関する基礎知識!メリットや審査内容を解説

不動産投資ローンを利用するメリットレバレッジを効かせた投資ができる団体信用生命保険(団信)に加入できる手持ち資金を残しておける不動産投資ローンの審査内容個人属性に関する内容投資物件に関する内容不動産投資ローンを受けるまでの流れ事前審査本審査融資の実行不動産投資ローンで知っておくべきポイント不動産投資ローンの借入額はいくらまで?住宅ローンで不動産投資用物件の購入は可能?不動産投資ローンが支払えなくなった場合にできることは?ローン残債のある物件の売却で注意する点は?まとめ

高額な不動産投資物件を購入するために欠かせないのが「不動産投資ローン」ですが、利用するには融資審査に通過する必要があります。

また借入金額も大きくなりやすいことから、ローンの返済できなくなった場合なども心配かもしれません。


そこで今回は、不動産投資ローンのメリットや基礎知識、ローン審査の内容について解説します。

不動産投資ローンへの不安を払拭し、賢く利用することで充実した不動産投資をおこないましょう。


不動産投資ローンを利用するメリット

不動産投資ローンを利用し、多額の借入をおこなうことに不安を感じる人もいるでしょう。

しかし、不動産投資ローンを利用することで以下のようなメリットが得られます。

不動産投資ローンを利用するかどうか迷っている場合は参考にしてください。


レバレッジを効かせた投資ができる

不動産投資ローンを利用することで、自己資金だけでは購入できない高額な不動産を取得でき、またレバレッジを活かした運用が可能になります。

不動産投資におけるレバレッジ効果とは、「小さい資金で大きな不動産を取得し収益を得ること」を指します。


たとえば自己資金500万円で、不動産投資ローンで借入をした場合としない場合を比較してみましょう。


【不動産投資ローンを利用しない場合】

利回り10%、価格500万円の区分マンションを現金一括払いで購入した場合の年間家賃収入は50万円となります。


【不動産投資ローンを利用し、借入をおこなった場合】

自己資金500万円を頭金として融資を受け、利回り10%、価格2,500万円の賃貸用戸建てを購入した場合の年間家賃収入は250万円になります。


ローン金利(例:3%)を支払った場合でも年間家賃収入は190万円となり、同じ自己資金額でありながら融資を受けなかった場合に比べて約4倍の収入になるのです。


このようにレバレッジを最大に活かすことで資産形成のスピードアップにもつながります。こうして得た収益は、繰上げ返済に回したり、新しい不動産投資物件の購入資金にしたり、さらなる収益を得ることに役立つのです。


団体信用生命保険(団信)に加入できる

不動産投資ローンを利用する際は、「団体信用生命保険(団信)」への加入が可能です。

団信とは、ローン契約者がローン返済中に事故や病気などで亡くなる(高度障害をおった)などの理由でローンの返済が困難になった場合、ローン残債を弁済してくれる保険システムです。


これによって、遺族(または本人)は完済済みの投資用不動産を引き継ぐことができ、そのまま賃貸経営を継続して毎月の家賃収入を得ることができます。

また物件を売却して売却金を得ることも可能です。


手持ち資金を残しておける

不動産投資ローンを利用せず、手持ち資金で物件を現金一括購入して不動産投資をはじめることは可能です。

しかし、手持ちの資金のうちほぼ全額を使用して物件を購入することはおすすめできません。


不動産投資をおこなう場合、想定外の修繕費の発生や空室が長引くなど、キャッシュフローの悪化に備えて、ある程度の資金を手元に残しておくことは非常に重要です。

もし手元資金に余裕がなければ修繕費が支払えなかったり、空室で家賃収入が減ってしまいローンの返済が滞ってしまったりといったことも考えられます。


不動産投資ローンを利用すれば初期投資における自己資金の持ち出しは最小限で済むため、手元にある程度の資金を残しておくことができ、余裕を持った賃貸経営が可能になります。


不動産投資ローンの審査内容

ローン 家 ブロック

不動産投資ローンを利用するには、融資を受ける金融機関の審査を通過する必要があります。

おもに審査されるのは「個人について」と「物件について」です。

ここでは不動産投資ローンで融資を受ける際に審査される内容について解説します。


不動産投資ローンの審査について詳しくはこちら!>>不動産投資の融資の可否はどう決まる?審査に通りやすいのはこんな人


個人属性に関する内容

不動産投資ローンの融資審査では「個人属性」が審査されます。

個人属性とは「融資申込み者の社会的背景と経済的背景」のことを指し、融資条件を決めるうえでの重要な指標です。

個人属性が高ければ、有利な条件で融資を受けられる可能性もあります。


なお個人属性は、おもに以下のような項目が審査されます。


【おもな個人属性項目】

・勤務先について

一般的に、勤務先の安定性が高いほど審査に通りやすい傾向があります。

とくに公務員や上場企業の正社員であれば高属性と評価され、審査に有利です。


一方、安定性が疑われる勤務先(中小企業や業績不振の会社など)は審査に通りにくくなる場合があります。


・収入について

収入の審査基準は金融機関により異なりますが、毎月安定した収入がある場合は審査に有利になります。

歩合給など毎月の収入額が一定ではない人や就職・転職して間もない人は、収入が安定していないと判断されやすく、ローン審査には通りにくい場合があります。


またローンの借入金額の上限は年収で決まるため、高収入であれば高額の借入をおこなえる可能性が高くなるでしょう。


・自己資金の有無

不動産投資ローンを利用する際は、自己資金として頭金を入れるのが一般的です。

頭金をいれることで借入金額が減り、返済リスクが低くなるため、融資審査に通過しやすくなります。

逆に自己資金が少ない場合は借入金額が大きくなるため、ローン申込み者の年収などによっては審査に通りにくくなるでしょう。


・ローン支払いの延滞の有無など

これまでのローン支払い履歴も審査の対象となります。

信用情報機関に加盟している金融機関では、「信用情報データベース」でローン申込み者の信用情報を閲覧し、その内容を見て審査をおこないます。


閲覧結果から、過去に長期延滞や債務整理などがあれば不動産投資ローンの返済が滞るリスクがあると判断され、審査に通らない場合があります。

ただし、信用情報データベースは10年経過した情報は削除されるため、審査に影響を及ぼす心配はなくなるでしょう。


投資物件に関する内容

不動産投資物件のローン審査では、投資する物件の収益性や担保価値も審査対象となります。


金融機関は貸したお金の回収を第一に考えます。

そのため、収益性・担保価値がある物件であれば、万一ローンの返済が滞った場合でも物件を売却することで残債の回収が可能とみなされ、審査に通りやすくなるでしょう。


審査基準は金融機関によって異なりますが、エリアや立地、建物の築年数、賃料相場などから物件を評価するといわれています。

もし個人属性が低い場合は、できるだけ資産価値の高い物件を選ぶことで、ローン審査に通りやすくなったり、有利な条件で融資を受けられる可能性が高まります。


不動産投資ローンを受けるまでの流れ

ここでは、不動産投資ローンの申込みから融資を受けるまでの流れについて解説します。


事前審査

不動産投資ローンを受けようとしている金融機関に融資の事前審査の申込みをします。

金融機関によって審査に必要な書類は異なるため、申込み時に持参すべき書類を確認しておくとよいでしょう。


事前審査では、面談をおこなったあとに物件とローン申込み者の資産状況などに関する審査がおこなわれ、融資の可否および融資額や金利などが決められます。

なお、結果が出るまで2~4週間程度かかるのが一般的です。


本審査

事前審査に通ったら物件の購入申込みをし、売買契約を締結したうえで、不動産投資ローンの本審査を申込みます。

ここでも提出書類があるので、しっかりと確認して必要な書類を用意しておきましょう。

本審査では、個人属性や物件の資産価値・担保性が評価されます。

なお、結果が出るまでは1週間~1ヵ月程度かかります。


事前審査に通っても本審査で落ちてしまうことあるため、売買契約書には、融資の審査が通らなかった場合に契約解除できる「ローン特約」が盛り込まれているか、かならず確認しましょう。


融資の実行

本審査に通ったら「金銭消費貸借契約(金消契約)」を締結します。

金消契約とは、金融機関と借主(ローン申込み者)とのあいだで締結するローン契約を指します。


契約書には返済計画や金利などが記載されているので、内容をしっかりと確認しておきましょう。

物件の引き渡し時に融資の実行を受けて完了となります。


不動産投資ローンで知っておくべきポイント

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ここでは、はじめて不動産投資ローンを利用する人に知っておいてほしいポイントをまとめました。

不動産投資ローンの借入額はいくらまで?

不動産投資ローンで借入できる上限は、ローン申込み者の年収の7~10倍程度といわれています。

ただし、ローン申込み者の個人属性やこれまでの不動産投資の実績によって、また利用する金融機関によって融資上限額は異なります。


融資上限を公表している金融機関もありますが、やはり個人によって融資額は異なるため、詳しい融資限度額を知りたい場合は金融機関に直接訪ねてみるとよいでしょう。


住宅ローンで不動産投資用物件の購入は可能?

住宅ローンと不動産投資ローンは借入の目的が異なるため、住宅ローンで収益用不動産は購入できません。

もし、住宅ローンで購入した不動産を第三者に賃貸していることが発覚した場合、契約違反として違約金の発生やローン残債の一括返済などのペナルティが課せられます。

悪質な場合は詐欺罪に問われることもあるので注意しましょう。


ただし、転勤など特別な事情があれば、住宅ローンの返済中のマイホームを賃貸できる場合もあります。

またローンの種類を切り替えることで、住宅ローンの返済中の住宅を貸し出すことも可能です。


いずれにしても住宅ローンの返済中に家を貸したい場合は、まず金融機関に相談し、許可してもらう必要があります。

くれぐれも無許可で賃貸をおこなわないようにしましょう。


不動産投資ローンと住宅ローンの違いについてはこちら!>>不動産投資ローンと住宅ローンを併用する際の順番による注意点


不動産投資ローンが支払えなくなった場合にできることは?

不動産投資ローンの返済が滞ってしまうと、物件を差し押さえられてしまう危険性があります。

もし、ローンの返済がむずかしいと感じた場合は、できるだけ早くローン返済金の負担を軽くするための対策をとる必要があります。


ローンの返済負担を軽減させるには、以下のような方法があります。

・金融機関に返済期間の延長など、リスケジュール(リスケ)の相談をする

・金融機関に金利引き下げの相談をする

・金利の低いローンに借り換えを検討する


いずれも金融機関との交渉が必要ですが、一刻でも早くローン返済の負担を軽くする必要があるため、まずは相談してみましょう。

なお、延滞後の交渉には応じてくれない金融機関もあるため、資金繰りがきびしいと感じたら、できるだけ早い段階で相談することをおすすめします。


ローン返済に困ったときはこちら!>>不動産投資で自己破産に陥る理由を解説!破産を避ける5つの方法


ローン残債のある物件の売却で注意する点は?

不動産投資ローンを利用して購入した不動産には抵当権がつけられます。

これは、金融機関がローンとしてお金を貸し出すときに、そのお金で購入する不動産を担保として確保しておく権利を指します。

抵当権付きの不動産であっても売買できますが、抵当権を外してから売却をするのが一般的です。


なぜなら、物件の所有権がほかの人に移っていても抵当権の方が優先されてしまうため、ローン返済が滞った場合、抵当権が実行されて不動産が差し押さえられてしまいます。

そのような物件を購入したいと考える人はいないため、不動産を売却するときには抵当権を抹消した状態で買主に引き渡すことが原則となっているのです。


抵当権を外すためには、借入金の返済が完了している必要があります。


ローンを完済するには、以下のようなパターンが考えられます。

・手持ちの資金で借入金を返済して売却する

・売却して得た資金で借入金を返済する(買主から受け取った売却金額を金融機関に返済する)

・任意売却をおこなう


なお、抵当権は自動的に抹消するわけではありません。

ローンを完済したあとで抵当権抹消登記を申請する必要があるため、忘れないよう注意しましょう。


まとめ

不動産投資ローンを利用することで、自己資金では購入できない高額の収益物件の取得ができ、レバレッジ効果も加わることで収益の増加も期待できます。

一方で毎月のローン返済が滞ってしまうと物件が差し押さえられる危険性もあるため、もしローン返済がむずかしくなった場合は、迅速にリスケや金利の引き下げなど金融機関へ相談しましょう。


また不動産投資ローン審査では、個人属性と物件の資産価値・担保性が評価対象となります。

個人属性が低い場合は、できるだけ資産価値の高い物件を選ぶことで、有利な条件で不動産投資ローンを受けられる可能性があります。


不動産投資ローンを上手に利用して、より多くの収益を得られる不動産投資をおこないましょう。

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