アパート経営に資格は不要だが知識は必要!知識重視の資格5選
アパート経営をおこなうにあたって必要な資格はありません。
しかし、資格は持っていて損にはなりませんし、なによりも資格取得のために勉強して得た知識はアパート経営に大変役立ちます。
アパート経営の知識が増えれば、それだけアパート経営が成功する可能性が高まります。
では、どんな資格を取得(勉強)すれば、アパート経営に役立つ知識が身につくのでしょうか?
今回は、アパート経営に必要な知識が得られる資格5つを厳選しました。
資格試験に合格せずとも、勉強するだけでもアパート経営にとってプラスになる知識ばかりです。
これからアパート経営をはじめようと考えている人はもちろん、アパート経営中の大家さんも、ぜひ参考にしてください。
アパート経営に資格は不要だが知識は必要
アパート経営をおこなうのに必要な資格は一切ありません。
「〇〇の資格がないからアパート経営は認められません」ということはないので安心してください。
アパート経営に必要なのは、アパートを購入・運用できる資金と知識だけです。
すぐ上に「アパート経営をおこなうのに必要な資格は一切ない」と書きましたが、「アパート経営を成功させるために知識は必要」なのです。
アパート経営に必要な知識とは?
アパート経営をおこなうにあたって役立つ知識は以下のようなものがあります。
アパート物件取得に関する知識
物件取得は、アパート経営でもっとも重要な部分です。
そのため、必要な知識はしっかりと理解しておきましょう。
不動産の見極めかた
アパート経営の成功は物件の立地に大きく左右されるため、収益物件を見極める知識は非常に重要です。
間違った物件を選んでしまっても気軽に買いなおすことはできないため、十分検討したうえで「これ」という物件を選ぶ必要があるのです。
賃貸需要の有無や周りの家賃相場、利便性、周辺環境などチェックするポイントはたくさんあります。
また物件選びの知識があれば、悪徳セールスなどに騙される心配もありません。
収支計画に関する知識
物件選びと並行しておこなうのが収支計画です。
検討中の物件が、本当に長期に渡って収益を出せる物件なのか、しっかり検討しなくてはなりません。
そのため収支シミュレーションは欠かせません。
収支シミュレーションをおこなうには、物件の利回りや想定家賃収入額、購入費用、ローンの借入条件、運用時の諸費用などに加えて空室率や家賃下落率など、シミュレーションに関わる項目の知識が必要です。
また収支シミュレーションの結果を正しく判断できる知識も必要になります。
物件取得に必要な資金や不動産投資ローンの知識
せっかく気に入った不動産物件があっても、融資がおりなければ購入できません。
そのため、欲しい物件と自己資金、融資などの知識について、しっかり理解しておく必要があります。
頭金の目安や初期費用として必要な額は物件によって異なります。
また不動産投資ローンの流れなども確認しておきましょう。
契約や手続きに関する法律の知識
不動産に関する登記や法律の知識についても把握しておかなければ、話を理解することがむずかしいですし、また自分に不利な条件が含まれていても気づけません。
一度契約を締結してしまうと覆すことはむずかしいため、契約内容を慎重に確認することが必要です。
アパート経営全般に関する知識
アパート経営にはさまざまなリスクがありますが、あらかじめリスクに対する知識を得て、それを理解しておくことで、リスクを最小限におさえることにつながります。
また、賃貸借契約をはじめ、運用に必要な費用、管理全般、リノベーション・リフォームなど多岐に渡った知識が必要になります。
運用するための会計と税務の知識
アパート経営でもっとも重要な部分です。
家賃収入、費用等の支出、どれだけ収益があるのか、健全なアパート経営ができているか、収支で不安面はないかなどしっかり確認する必要があります。
また確定申告など税金の納付や節税も大事です。
会計や税務面は会計士や税理士に任せることもできますが、やはり基本を理解しておかなければ確認の際にミスが出てしまう可能性があります。
アパート経営の大家さんに本当に役立つ5つの資格
アパート経営に役立つ資格はたくさんあります。
しかし資格によっては、取得するためにアパート経営には不要な知識も覚えなくてはならないことが多く、それがデメリットでもあります。
不動産投資の資格として真っ先に思いつくのが「宅地建物取引士(宅建)」という人は多いでしょう。
宅建は、約1/3が宅地建物取引業法についてのため不動産業者には必須ですが、大家さんにとっては必要性が低くいです。
もちろん大事な内容なので知っておいて損はありませんが、試験範囲が広く、合格率15%~18%程度であることを考えると、アパート大家さんにおすすめしたい資格は別のものになります。
そんな宅建よりもさらに難易度が高いのが「マンション管理士」です。
宅建と同じく国家資格のマンション管理士ですが、その合格率は8%前後であり超難関資格のひとつにあげられるほどです。
また、マンション管理士の資格試験に合格するための勉強時間の目安は約500時間とも言われています。
アパート経営に必要な箇所だけであれば、特に資格の勉強でなくても別の方法で勉強したほうが効率よくすすむ場合も多いのではないかと考えられます。
そこでここでは、「アパート大家さんにとって、本当に役立つ知識を効率的に得られる資格」を6つ、知識の目的別に紹介します。
アパート経営全般について役立つ資格
不動産実務検定
「不動産実務検定」は、一般財団法人「日本不動産コミュニティー」が運営する民間資格です。
以前は賃貸経営実務検定(通称「大家検定」)と呼ばれていた資格で、賃貸大家さんに必要な知識が網羅された資格です。
不動産実務検定には、2級と1級があり、その上にマスター資格が用意されています。
また不動産実務検定は有料の認定講座を受講することができ、認定修了試験の5問が免除されます。
なお独学で勉強したのち検定試験を受けることも可能です。
試験はコンピュータを使用してほぼ毎日実施されており、その場で合否もわかるため、気軽に受験することができます。
2級であれば独学でも合格できるチャンスは高いため、賃貸経営初心者の人でもチャンレンジしやすい資格です。
〇内容
2級は「賃貸管理運営実務に関する知識」として、賃貸経営に必要な法律や税務・会計、賃貸借契約、リスク対策、管理実務知識など、はじめて賃貸経営をおこなう大家さん向けの内容になっています。
1級は「不動産投資に関する実務知識」として、不動産投資実務全般、不動産関連法規、借地取引の基礎、競売の実務、建築構造に関する知識など、総合的かつ専門的な内容の知識が学べます。
〇受験情報
主催 :一般財団法人日本不動産コミュニティー
受験資格:特になし
受験日程:全国の共通会場にて、随時実施。
受験費用:2級 7,700円、1級 8,800円
合格率 :認定講座受講者 2級 76%、1級 71%
一般検定受験者 2級 69%、1級 46%
*認定講座費用:2級 40,480 円(受講料、テキスト代、送料、税込)
1級 96,580 円(受講料、テキスト代、送料、税込)
参考:「一般財団法人日本不動産コミュニティー」
賃貸不動産経営管理士
令和3年度より国家資格となった賃貸不動産経営管理士は、おもに賃貸住宅に関する専門的な知識を持つ資格です。
管理委託契約や賃貸借契約の締結・更新・終了といった、アパート経営をおこなう上で知っておきたい知識が身に付きます。
国家試験になって最初の資格試験として注目されていた令和3年年度に実施された資格試験について、令和4年1月7日に合格発表がされました。
令和3年度の賃貸不動産経営管理士試験の受験者数は32,459名、合格者数は10,240名、合格率は31.5%でした。
前年の受験者数は27,338人だったことから受験者数が大幅に増加、合格率も前年度29.8%よりも1.7%上昇しています。
受験者数の増加や合格率の上昇から、次回試験も注目されることが予想されます。
これから賃貸不動産経営管理士の資格取得を目指す人は、国家資格として第2回となる令和4年度の資格試験について、試験内容の変化などの情報に注意するとよいでしょう。
〇内容
賃貸不動産経営管理士の資格取得では以下のような知識を学べます。
・賃貸借契約全般の知識
・建物や設備の管理知識
・入退去管理の知識
入居付けから退去後の原状回復まで一連の管理や対応の流れをつかめるため、大家さんにとっても役立つ知識が豊富です。
〇受験情報
主催 : 一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会
受験資格: 特になし
受験日程:未定(令和4年度)
受験費用:未定(令和4年度)
合格率 :令和3年度 31.5%
参考:「一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会」
アパート経営の会計や収支計画・節税などに役立つ資格
ファイナンシャル・プランニング技能士(3級)
ファイナンシャル・プランニング技能士は、ファイナンシャルプランナーの技能を認定する国家資格です。
資産設計のアドバイザーとして、お金の流れに関する専門知識を活かし、不動産業界だけでなく、さまざまな場面で活躍できる資格です。
ファイナンシャルプランナー資格がアパート経営で役立つのは、お金の流れを把握できるための収支シミュレーションの実行とアドバイスです。
不動産を購入する際の金融機関からの融資や、不動産を貸し出す際の家賃設定などについて判断が可能になります。
また、税金や相続といった項目についても専門的知識が役立ちますし、アパート経営以外の投資方法にもファイナンシャルプランナーの知識が必要になる場面は多いでしょう。
ファイナンシャル・プランニング技能士試験は、「日本FP協会」と「金融財政事情研究会(きんざい)」の2機関でおこなわれており、どちらで合格しても資格は同じです。
試験は、学科試験と実技試験に分かれていますが、どちらもマークシート方式の筆記試験になります。
合格率は、3級に関しては日本FP協会で約80%と非常に高く、これから独学で勉強をはじめても合格できる可能性は十分考えられます。
〇内容
不動産関連に関しては、不動産取引、建築基準法など不動産関連の法律、住宅や宅地に関する知識が身につきます。
関連内容として、相続・事業承継資産設計提案業務などもアパート経営時に役立つでしょう。
〇受験情報
主催 : 日本FP協会、金融財政事情研究会
受験資格: FP業務に従事している者または従事しようとしている者
受験日程:2022年5月22日(日)、 2022年9月11日(日)、2023年1月22日(日)
受験費用:学科試験 3,000円、実技試験 3,000円
合格率 :学科 83.25%(令和2年5月試験データ)
実技 76.65%(令和2年5月試験データ)
日商簿記3級
簿記を勉強することで、アパート経営における利益や負債、減価償却などの費用についての知識が学べます。
帳簿の内容から収支バランスの判断をおこない、アパート経営の財政状態を明らかにするのに役立ちます。
また、確定申告を青色申告でおこない、不動産所得で65万円の青色申告特別控除を受ける条件のひとつに、主要簿として複式簿記で記帳する「仕訳帳」と「総勘定元帳」を作成することが必須です。
知識のない人にとって複式簿記は難解ですが、簿記資格を持っていれば簡単におこなえるでしょう。
簿記検定にはいくつか種類がありますが、日本商工会議所がおこなう「日商簿記検定」の認知度が一番高く、ほかの簿記検定よりも信頼性もあります。
日商簿記検定は、初級、3級、2級、1級がありますが、不動産投資に役立てるなら3級か2級取得がおすすめです
ただし2級の合格率は20%前後と、けっして高くないため、受験する際はしっかりと準備しましょう。
まずは肩慣らしとして、約半数が合格できる3級を受験してみましょう。
簿記資格は、仕事をしながらでも独学で取得が可能な資格であり、試験も2級、3級の試験は年に3回あるため、受験しやすい資格になります。
〇内容
試験内容は、経理関連書類の適切な処理ができるレベルであるかが問われます。
簿記の基本原理や諸取引の処理、決算、株式会社会計などについて出題されます。
〇受験情報
主催 : 日本商工会議所
受験資格: 特になし
受験日程:2022年6月12日(日)、2022年11月20日(日)、2023年2月26日(日)
受験費用:3級 2,850円
合格率 :2021年6月13日(第158回)28.9%
2021年2月28日(第157回):67.2%
2020年11月15日(第156回):47.4%
参考:「日本商工会議所」
知識以外でアパート経営に役立つ資格
アパート経営に役立つ資格は、知識面だけでなく物理的に役立つ資格もあります。
電気工事士(第2種)
電気工事士資格は、アパート経営の知識とは無関係ですが、取得していれば大家さん自身で簡単な電気工事(コンセントの交換やインターホンの設置等)ができるためリフォームや修繕コスト削減に効果的です。
電気工事士は第1種と第2種があり、電気工事できる現場の規模が異なりますが、どちらも国家資格です。
大家さんには、一般住宅や店舗での工事が認められる第2種がおすすめです。
試験は年に2回チャンスがあり、筆記試験と技能試験があります。(筆記試験のみ、免除規定あり)
国家試験としては、難易度は低いほうですが、電気関連の専門用語や技能試験があるため、独学よりも通信講座などを受講すると効率よく資格試験に合格できます。
〇内容
筆記試験内容は、電気に関する基礎理論や配電理論および配線設計のほか、電気器具や工具・材料、安全性などについて出題されます。
技能試験は、事前に公表されている候補問題から1題選択し、配線図を使って配線の作業や施工をおこない正常に動作すれば合格になります。
〇受験情報
主催 : 一般財団法人電気技術者試験センター
受験資格:特になし
受験日程:上期(筆記試験5/29、技能試験7/23または7/24)令和4年度予定
下期(筆記試験10/30、技能試験12/24または12/25)令和4年度予定
受験費用:9,300円(インターネット申し込み)
9,600円(郵送申し込み)
合格率 :筆記試験50~60%、技能試験60%台
参考 :「一般財団法人電気技術者試験センター」
まとめ
アパート経営に必要な知識を勉強できる5つの資格を紹介しました。
いずれの資格もそれほど難易度が高くなく、独学または通信教育などを活用することで資格取得の可能性が十分考えられるでしょう。
資格を取得しなくても、取得のために学んだことはアパート経営にとって大事な情報としてリスク回避や打開策につながる可能性があります。
アパート経営を成功させるためにも、不動産の知識は積極的取り込んでいくことをおすすめします。