不動産投資の詐欺手口と対策方法!要注意なセールストークとは
金額の大きな不動産投資物件を購入するには、ただでさえ勇気がいります。
そこに「詐欺」の可能性が加わると、さらに不動産購入に躊躇してしまう人も多いでしょう。
しかし、事前に詐欺の手口を知っておくことで詐欺を回避できるケースも多いのです。
そこで今回は、不動産投資詐欺の手口と対策方法を紹介します。
また、詐欺が疑われるセールストークもまとめました。
これから不動産投資をはじめる人はもちろん、すでに投資をはじめている人にも役立つ内容です。
ぜひ参考にしてください。
不動産投資詐欺の手口と対策方法
ここでは代表的な不動産投資関連の詐欺の手口と対策方法を紹介します。
手口と対策方法を知っておくことで被害を避けることにつながります。
ぜひ覚えておきましょう。
手付金詐欺
手付金詐欺は、物件の手付金を支払ったにもかかわらず物件の引き渡しがされないまま、業者も消えてしまうというオーソドックスな詐欺の手口です。
「ほかの人に買われる前に、手付を入れておきましょう」などと言って手付を払わせたり、複数の購入希望者全員に手付を支払わせたりといったパターンがあります。
対策方法
すぐさま手付金を払うのではなく、検討したい旨をはっきりと伝えまましょう。
その後あらためて、物件の基本情報(相場価格、賃貸需要など)の確認や現地確認、セカンドオピニオン、契約内容の確認などをおこないましょう。
満室詐欺
賃貸物件の空室にサクラなどを使って「満室」にし、賃貸需要がある「高利回り物件」と偽って売却する詐欺です。
オーナーチェンジしたとたんサクラは退去してしまうため、本来の空室率に戻ってしまいます。
対策方法
レントロールで各部屋の入居時期やこれまでの空室期間などを確認しましょう。
結果によっては長期入居者に話を聞くなどの確認作業が必要になる場合もあります。
ただし、レントロール自体が改ざんされている場合もあるため、完全に見抜くのは困難な詐欺の手口になります。
デート商法・婚活サイト詐欺
出会いを演出し、恋愛関係になったところで、すすめられるまま不動産を購入し、契約後連絡が取れなくなるという昔ながらの詐欺の手法です。
以前はデート商法と言われた詐欺手口ですが、最近は婚活サイト詐欺として「婚活サイト」や「マッチングアプリ」などの出会いの場を利用した詐欺が増えています。
対策方法
恋愛感情という心理を利用した詐欺なので対策がむずかしいのが実情です。
しかし2019年6月より、デート商法が不当な勧誘であると定められ、契約が取り消せるようになりました。
ただし「社会生活上の経験が乏しい」人が対象という要件があり、適用されない場合もあるため注意が必要です。
海外不動産詐欺
海外の投資物件という、現地調査がむずかしく実態のつかみにくさを利用した詐欺手口です。
架空の不動産を販売したり、相場よりも高く販売したり、物件の引き渡しがされずにお金だけ持ち逃げされるケースもあります。
対策方法は
海外物件は、信頼できる不動産会社から購入するのが一番安心です。
また費用はかかりますますが、契約前に自分または信頼できる代理人による現地調査をおこなったりするとよいでしょう。
サブリース詐欺
不動産会社(サブリース会社)が物件を一括で借り上げて経営し、オーナーに決まった家賃を保証する「サブリース契約」を悪用した詐欺の手口です。
サブリース契約自体は空室リスク対策として効果が期待できますが、家賃額の見直しなどのデメリットもあります。
対策方法
家賃保証の見直しや免責期間などをしっかりと確認し、納得したうえで契約することです。
サブリース会社によってはオーナーに不利な条件の説明を省く場合もあるので、サブリースについてある程度の知識を持つことも詐欺の回避に役立ちます。
「家賃保証があるから大丈夫」と言われたら詐欺を疑いましょう。
源泉徴収票書き換え詐欺
買い手の年収が不動産投資ローンの審査基準に達していない場合、審査を通すために不動産投資会社が勝手に買い手の源泉徴収票を改ざんしてしまう詐欺手口です。
改ざんは買い手が知らないうちにおこなわれているにもかかわらず、買い手が金融機関から文書偽造罪や詐欺罪で訴えられてしまうケースもあります。
対策方法
あらかじめ複数の金融機関や不動産会社に「融資可能額」を確認し、把握した融資可能額を超える高額物件をすすめられた際は詐欺を疑いましょう。
不動産投資詐欺が疑われる不動産業者のセールストーク
ここでは不動産投資詐欺が疑われる場合の営業マンのセールストークについてまとめました。
すべてが詐欺につながるわけではありませんが、疑ってみることで詐欺被害の回避に役立ちます。
とりあえず契約させようとする
詐欺手口の多くは、ターゲットが冷静な判断をおこなう前に購入(契約)をせかす傾向があります。
時間が空いてしまうと詐欺に気づかれやすくなったり、第三者に相談されたりするため、「今だけ特別」「ほかに買い手がいます」など言葉巧みに契約させようとするでしょう。
高額な不動産投資物件だからこそ焦って契約しないことが、詐欺被害から身を守ります。
メリットばかり強調するセールストークには要注意
不動産投資詐欺のセールストークは、メリットばかり強調してリスクやデメリットの説明はぼかしたり省いたりする場合が多いです。
不動産投資のリスクやデメリットを無視するようなセールストークには注意が必要です。
節税できます
不動産投資が節税につながる可能性はたしかにありますが、それにはさまざまな要件があり、すべての不動産投資が節税につながるわけではありません。
そのため安易に「節税」を強調するセールストークには注意しましょう
年金代わりになります
不動産投資は、入居者がいれば毎月安定した収入が得られるため、老後の年金プラスアルファになることも十分期待できる投資方法です。
しかし物件に集客力がなければ入居が付かず家賃も入りません。
その場合、年金どころか直近のローン返済がままならない可能性もあります。
また数十年後の老朽化した物件の維持にかかる修繕費を考慮する必要もあります。
そういったリスクの説明を省くようなら詐欺が疑われます。
高利回りなので儲かります
不動産投資で利回りを重視するのは間違いではありませんが、「利回りが高い物件=儲かる物件」とはかぎりません。
ここで言う利回りが経費を差し引いた「実質利回り」なのか、単なる「表面利回り」なのか。
また、なんらかの理由で物件価格が下がったことで利回りが高くなっている場合も考えられます。
「高利回り」の内容について確認し、納得できる回答が得られない場合は詐欺が疑われます。
将来値上がりします・価格が下がりません
「将来値上がりする」と言って相場よりも高く不動産を売りつけるのも、詐欺によくある手口です。
しかし本当に値上がりするかどうか、利益が出るかどうかは誰にもわかりません。
また、立地がよければ土地価格は下がりにくいですが、建物は老朽化するため価値は下落するのが一般的です。
こうした不確定事項を、さも確定事項のように語るセールストークには警戒しましょう。
頭金なしでローンが組めます
頭金なしの「フルローン」は、少ない自己資金でレバレッジを効かせた投資ができるため、早く資産形成ができるなどのメリットがあります。
しかし一方で、借入れ総額が大きくなり月々のローン返済額も高額なことが多いです。
そのため、家賃収入が減ってしまうと一気にキャッシュフローが悪化し、自己資金がないとローン返済ができなくなる可能性も考えられます。
詳しい収支シミュレーションをしない状態でフルローンをすすめてくる場合は、詐欺を疑いましょう。
フルローンについて詳しくはこちら!>>不動産投資のフルローンはリスクを理解・把握したうえで活用しよう
非公開物件です
「特別感」を強調するのも詐欺によくあるパターンです。
不動産投資詐欺の場合、過去の取引がまったくないにもかかわらず、「特別な人にしか教えない非公開物件です」といったような誘い文句を言われたら詐欺の可能性が高いです。
不動産投資で詐欺のターゲットになりやすい人の特徴
不動産投資詐欺のターゲットになりやすい人の特徴は、ずばり「融資を受けやすい人」です。
具体的には公務員や上場企業の社員、医師や弁護士など、いわゆる「高属性」とよばれる人たちは狙われやすいと言えます。
不動産投資で物件を購入する際には、金融機関から融資を受けるのが一般的です。
融資審査は、属性(年収や勤務先、自己資金額など)が高い人ほど通りやすく、また高額な融資も受けやすい傾向があります。
このように、不動産を購入できる資金力があるため詐欺師に狙われやすくなるのです。
不動産投資詐欺を回避する方法
不動産投資詐欺に騙されないためには、ある程度の自衛も効果があります。
ここでは詐欺被害を回避する方法について解説します。
不動産投資の知識を勉強する
不動産投資詐欺を見抜くためには、まず自分で不動産投資の知識をつけることが大切です。
知識があれば、相手の話におかしな点があったり、本来説明される事項が省かれていることがわかったり、詐欺であるかどうか判断できるようになるでしょう。
納得できるまで質問する・納得できないは話をすすめない
商談のなかで分からないことがあれば、どんどん質問してみましょう。
誠実な営業マンであれば質問に対して、しっかりと答えてくれるはずです。
ハッキリした回答をもらえない場合は納得できるまで質問し、それでも納得できなければ、商談を打ち切ることで詐欺被害の防止につながります。
勧誘電話の誘いには乗らない
不動産投資の営業電話は、一度相手にすると電話を切らせてもらえなかったり、繰り返し電話がきたり、しつこく営業を繰り返される恐れがあります。
セールスだと気付いた場合は、はっきりと興味がないことを伝えて早々に電話を切りましょう。
相談先を作っておく
不動産投資経験者や大家さん同士のネットワークを築いておくことで、詐欺などの情報交換ができ、万一のときの相談もできます。
信頼できる不動産会社であるか見極める
相手が信頼できる会社かどうか見極めることで詐欺被害の防止につながります。
信頼できるかどうかは以下の要点をチェックしましょう。
・メリットだけでなくリスクやデメリットについてもきちんと説明してくれる
・顧客の希望や資産状況に合わせたプランを提案してくれる
・業歴が長く業績がよい
・口コミがよい
・業界団体に加盟しているか
・行政処分を受けていないか
不動産投資の相談先について詳しくはこちら!>>不動産投資の相談は目的別で決める!選び方の注意点や事前準備を紹介
不動産投資で詐欺かも?と思ったときの確認先と相談先
「もしかして詐欺?」と思った際は、不動産業者がきちんと許可を受けた業者なのか、行政処分を受けたことはないか確認してみましょう。
国土交通大臣と都道府県知事から許可を受けているか
国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム検索」では、国土交通大臣と都道府県知事が認可した各業者の情報が閲覧できます。
記載されていない会社は無許可営業になるため、信頼性は低いと判断できます。
不動産業界団体に加盟しているか
不動産会社など不動産関連事業者の多くは業界団体に加盟しています。
団体には保証制度があることも多く、加盟会員会社であれば、万が一問題が起きた場合でも安心です。
業界団体は複数ありますが、ここでは大手の不動産業界団体をふたつ紹介します。
(社)全国宅地建物取引業協会連合会
(社)全国宅地建物取引業保証協会
会員数は約11万社、全国の85%の不動産会社が所属する国内最大規模の不動産業界団体です
(社)全日本不動産協会
(社)不動産保証協会
設立は昭和27年10月1日と不動産業界最古参です。45都道府県に本部を持ちます。
過去に行政処分を受けていないか
国土交通省「ネガティブ情報検索サイト検索」では過去の行政処分を受けた会社などを検索できます。
悪質な業者は過去に行政処分を受けている可能性があるため、一度検索してみるとよいでしょう。
相談先窓口
万が一、不動産投資詐欺に遭った場合は速やかに下記の相談窓口に連絡し、相談することをおすすめします。
・弁護士
まとめ
不動産投資詐欺の手口はさまざまですが、いずれも手口を知ることで回避することは可能です。
加えて不動産投資の知識をつければ、詐欺かどうか見極めることがさらに容易になるでしょう。
ただし「自分は大丈夫」と過信せず、誰でも詐欺にあう可能性があることを意識しておくことも大切です。
そのためにも、当記事の詐欺手口と対策方法を参考にしてください。