賃貸需要の調べ方!選ばれるエリアと物件で不動産投資を成功させる!
不動産投資をおこなうにあたって「賃貸需要」は無視できない重要なポイントです。
賃貸需要のあるエリアや物件を選べば入居付けがしやすくなりますが、逆に賃貸需要が低い場合は空室が増えて賃貸経営はむずかしくなってしまいます。
今回は、不動産投資の成功にかかせない、賃貸需要の高いエリアや物件の特徴、賃貸需要の調べ方や便利なサイトについて解説します。
賃貸需要が不動産投資で重要な理由
不動産投資では、物件を購入しようとしているエリアや物件本体に賃貸需要がどの程度あるのか把握しておくことが重要です。
不動産投資は、所有する不動産を賃貸し、入居者から家賃を得ることで成り立ちます。
どんなに素晴らしい物件でも借りる人がいなければ入居付けができず、賃貸経営はうまくいきません。
まずは、「賃貸需要が高い」とされるエリアや物件の特徴を把握したうえで、購入予定の物件とエリアの賃貸需要を実際に調査してみることをおすすめします。
賃貸需要の調査結果をもとに、しっかりと収支シミュレーションをおこなうことで、賃貸経営の成功へとつながるのです。
賃貸需要の高いエリアの特徴
賃貸需要を調べる前に、まずは「賃貸需要の高いエリア」について解説します。
どのようなエリアであれば賃貸需要が高いのか、物件を選ぶ際の参考にしてください。
人口が増加している
賃貸需要が高いエリアは人口と比例するため、できるだけ人口が増えているエリアを選ぶことが重要です。
なお、日本全体でみれば人口は減少傾向にありますが、転入超過(転出よりも転入が多い状態)の市区町村を選ぶことで、安定した不動産投資をおこなえます。
各都道府県の人口移動数については、総務省統計局が発表している『住民基本台帳人口移動報告の結果』を指標にすることができます。
ただし、2021年4月に発表された2020年度の結果は、新型コロナウイルス感染症の影響から例年との結果とは大きく異なりました。
一都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)と大阪府については、例年通り転入超過となりましたが、2019年まで転入過多だった東京都への転入が激減しました。
これは新型コロナウイルス感染症を避けるため、東京から3県を含めた地方へ移動する人が増えたためと推測できます。
今後も新型コロナウイルス感染症の拡大や縮小次第で、人口の動きに影響が出る可能性が高いため注意深く見守る必要があると考えられます。
なお、『住民基本台帳人口移動報告の結果』は、総務省統計局のWebサイトで閲覧できます。
また、その結果を受けての分析についても閲覧できるので、これから不動産投資をおこなう人は目を通して現況を確認しておくことをおすすめします。
参照:総務省統計局『住民基本台帳人口移動報告の結果』
参照:総務省統計局『統計Today No.171』
周辺の利便性や住環境がよい
利便性のよいエリアは自然と人が集まり、そのため賃貸需要も高くなります。
人気施設や大型商業施設にアクセスしやすい、コンビニやスーパーが点在している、病院、郵便局、銀行に行きやすいなど、生活に必要な施設がある地域は利便性が高いと考えられます。
また、治安がよい、災害エリア外など、安全に暮らせる住環境のよさも重要です。
なお単身者かファミリーか、入居ターゲットの属性が変わることで、求める利便性は異なります。
たとえば、子供のいるファミリーであれば、買い物施設が近くても子供の通う学校までの距離が遠いと利便性がよいとはとらえられない場合もあります。
そういった入居ターゲットごとのニーズもしっかりと把握したうえで、判断しましょう。
周辺に賃貸物件がある、空室率が低い
近くにアパートやマンションなどの賃貸物件が存在するかどうかも大事なポイントです。周辺に競合物件が多すぎるのは考えものですが、賃貸物件がほとんどないエリアは、そもそも賃貸需要がないエリアと考えられます。
近隣にアパートやマンションがあれば、一定の賃貸需要があると判断できますし、また競合物件の入居率から賃貸需要の判断ができるでしょう。
もし周辺の競合物件が満室に近いなら、そのエリアは賃貸需要が高いと考えられますが、逆に空室が多いようならアパートやマンションの賃貸需要は低い可能性があります。
その場合、戸建て賃貸であれば需要が求められる可能性もあるので、検討するとよいでしょう。
賃貸需要の高い物件の特徴
エリアだけでなく、賃貸需要の高さを求めるのは物件も同様です。
ここでは、賃貸需要の高い賃貸物件の特徴について説明します。
駅から距離が近い
入居するための賃貸物件を探す際、多くの人は駅から近い物件を希望します。
不動産情報サイトアットホームが2019年におこなった『【ランキング】譲れない!失敗しないための賃貸物件こだわり条件BEST10』では、「駅からの距離」は第3位にランクインしました。
地方の車移動がメインのエリアは別ですが、徒歩移動が日常的な場合、やはり駅から近い物件が選ばれやすく、その際の目安となるのは駅から徒歩10分圏内にある物件です。
徒歩で移動を考えている人は、徒歩10分を超える物件を候補からはずすことが多くなります。
もし、購入を検討中の物件が駅から徒歩10分を超える場合は、周辺の競合物件の入居率や家賃額を参考に再検討するとよいでしょう。
ただし、前述の「周辺の利便性や住環境がよい」の項でも書いたように、入居ターゲットの属性によっては、駅からの距離よりも重要視される要素もあるため注意が必要です。
人気の設備が導入されている
賃貸経営でおこなう空室対策のひとつに「人気設備の導入」があるように、入居者ニーズと合致する設備を加えることで物件の賃貸需要が上がるケースがあります。
上記は「全国賃貸住宅新聞」が発表した「人気設備ランキング」の結果です。このランキングは、全国の賃貸仲介業者や不動産管理会社を対象に毎年おこなわれるアンケートで、最新の賃貸需要のトレンド指標として多くの大家さんが注目しています。
これから物件を購入する予定の人はアンケート結果にランクインしている設備の有無の確認を、所有する物件の賃貸需要をあげたい大家さんは費用対効果を考えた上で設備導入を検討するとよいでしょう。
物件の基本スペックがよい
賃貸物件そのもののスペックも賃貸需要に影響があります。
家賃額はもちろん、築年数、部屋数や間取りの使い勝手のよさ、専有面積、陽当たり、建物の構造(木造かRC造か)などが関係します。
不動産投資用の物件を選ぶ際には、物件の立地だけでなく、物件のスペックにも留意しましょう。
古くても築年数を感じさせない
賃貸需要は、新築時が一番高く、経年によって下がっていくのが一般的です。
そのため築年数が古くなると入居付けがむずかしくなり、家賃を下げて入居募集をおこなう必要も出てきます。
そこで実際の築年数を感じさせないように、古くなった設備の交換やリノベーションで間取りを変更するなど、資産価値の下落を防ぐ工夫が必要です。
実際、築古物件にリノベーションをおこなったところ家賃額を上げても入居がすぐに決まった例もあるので、築年数の古い物件の賃貸需要を上げる方法のひとつとして検討するとよいでしょう。
ペットや楽器可など特化型賃貸
不動産投資において競合物件との差別化は、賃貸需要を上げるために役立ちます。
特にペット可物件や楽器可物件などの「特化型賃貸物件」は、そもそもの件数が少ないため、家賃が少々高くても一定の賃貸需要が見込めます。
効率のよい賃貸需要の調べ方とお役立ち便利サイト
賃貸需要が高いとされるエリアや物件の特徴を把握できたら、次は購入検討物件とエリアの賃貸需要を実際に調べてみましょう。
ここでは、効率のよい賃貸需要の調べ方と調査に役立つ便利サイトを紹介します。
事前準備:インターネットで基本情報を調べる
まず、インターネットを使って物件やエリアの情報の下調べをおこないましょう。
ここでは、賃貸経営に役立つサイトと使い方を紹介します。
不動産ポータルサイトの大家さん向けサイトで調べる
購入しようと考えている物件周辺の空室率がどの程度なのかを調べるには、LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)の『見える!賃貸経営』が便利でおすすめです。
こちらのサイトでは、地域ごとの空室率やヒートマップで指定した地域の賃貸需要を確認することができます。
また同サイトの『PRICE MAP』では、調べたいエリアの周辺にある区分マンションの参考価格や坪単価、利回りをまとめて確認できるため、大変便利です。
家賃相場を知りたい場合は、SUUMOの『賃料・設備相場チェッカー』が便利です。
対象エリアの該当物件件数や家賃・敷金・礼金などの相場のほか、設備の導入率を確認できます。
いずれも、各サイトに掲載されている物件に基づくデータなため、エリアによってはz兵法がない場合もあります。
そのため、あくまで参考として使用することをおすすめします。
国や自治体のサイトで調べる
国や自治体のサイトを利用することで、より正確な日本各地の人口の増減や空室率など、各種統計データを調査できます。
・人口の動きを見るなら:総務省統計局『住民基本台帳人口移動報告の結果』
・全国の空き家率を見るなら:e-Stat:『住宅・土地統計調査』
また、各自治体のホームページでは、月ごとの人口の増減を発表しています。
地域をピンポイントで調べたい場合は、そちらが便利です。
実態の把握:地元の不動産会社にヒアリングをおこなう
インターネットで得た情報をもとにして、今度は地元の不動産会社にヒアリングをおこないましょう。
地元だからこそ、ネット上ではわからないリアルな情報を得ることができます。
方法としては、対象エリアが近隣であれば直接訪問するほか、電話で問い合わせてもよいでしょう。
ヒアリングの件数は3件程度で十分ですが、できるだけ多いほうがデータ分析には役立ちます。
まず、ヒアリングの目的を説明し、検討中の物件概要(エリア、賃料、間取り、築年数、設備など)を伝えた上でヒアリングをおこないます。
なお、いざヒアリングとなった際、慌てないように、あらかじめ確認したい項目を洗い出しておきましょう。
ヒアリング例)
・対象エリアについて(賃貸需要や競合物件の有無)
・客付けについて(家賃や条件、入居者の属性など)
・物件の設備について(必須の設備や入居付けに役立つ設備)
・エリアの再開発計画の有無(今後、賃貸需要の増える可能性があるか)
・その他
ヒアリングした回答を踏まえて、検討中の条件で賃貸経営が可能かどうかの判断を検討しましょう。
最終確認:自分の足で現地調査する
最後に、実際現地に行き自分の足で物件や周辺の確認をおこないましょう。
物件の外観や(見ることができれば室内も)共有部分(ゴミ置き場、駐車場・駐輪場など)はもちろん、駅からの距離、周辺の住環境や施設、騒音や匂いといった、ネットや人伝てではわからない情報を知ることができます。
駅から歩いてみたら物件情報よりも時間がかかった、物件建物が写真でも見るよりも古かった、周辺の環境が悪かったなどということも珍しくありません。
そのため物件所在地が遠方の場合でも、かならず1度は物件を実際に見て、しっかり確認した上で購入の検討することをおすすめします。
こんな物件は要注意!選ぶ前に確認しよう
一見、条件のよい不動産投資物件に見える場合でも、賃貸需要を見誤ると思わぬ失敗につながる可能性があります。
ここでは、そんな失敗を未然に防ぐヒントを紹介します。
ひとつの施設に需要を依存していないか
賃貸物件の周辺に大学や大きな企業がある場合、ある程度の賃貸需要は、それら施設に頼ることが多くなります。
しかし、そこだけに需要を依存してしまうと、大学や企業が移転してしまったり、学生数や従業員数が減少したりすると、急激に賃貸需要が低くなってしまう危険性があります。
特に昨今、郊外にある大学キャンパスが都心に移転するケースが増えています。
実際、郊外にあった大学の学部が移転したことで、大学生をおもな入居者としていた周辺の賃貸物件の大部分が空室になってしまい、大幅に家賃を下げても入居者が決まらなかったという事例もありました。
入居ターゲットの決定は入居付けに大事な条件のひとつですが、特定の施設だけに需要を頼ることなく、臨機応変な入居付けができる立地の物件を選ぶことで空室対策につながります。
ワンルームは部屋の形が重要
占有面積が小さな区分ワンルームマンションは、部屋の形がいびつだと使い勝手が悪く、敬遠されがちです。同じマンション内にある通常の部屋と同じ面積であっても家賃額を下げないと入居が付かない場合があります。
区分マンションの場合、入居者がいないと家賃収入はゼロなので、持ち出しばかりが増えてしまい、すぐに資金繰りがむずかしくなる可能性があるため注意が必要です。
ただし、立地がよければ「家賃が安い」という理由で選ばれる可能性もあります。購入するかどうかは、立地や物件価格との兼ね合いを考慮するとよいでしょう。
まとめ
賃貸需要の高いエリアと物件の特徴、賃貸需要の調べ方について解説しました。
空室率や家賃相場などを調べるのには、大家さん向け不動産ポータルサイトが非常に便利です。
調べた賃貸需要の結果をもとに検討し、しっかりと家賃収入が得られるエリアと物件を選んでください。