不動産投資で自己破産に陥る理由を解説!破産を避ける5つの方法
不動産投資をおこなうために金融機関から融資を受けて不動産物件を購入するのは、ごく一般的です。
借入金の返済は基本的に融資を受けた物件の家賃収入から支払われますが、空室が増えて家賃収入が減ってしまうと当初の収支計画に狂いが生じ、ローンの支払いができなくなり、最悪の場合は「自己破産」する可能性もあります。
自己破産してしまうと、資産を処分しなければならず、クレジットカードやローンの利用ができないなど、さまざまなデメリットがあります。
では、どうしたら不動産投資で自己破産するリスクを避けることができるのでしょうか?
そこで今回は、不動産投資で自己破産してしまう理由を解説しながら、自己破産を避けるための方法を5つ紹介します。
不動産投資を成功させるためにも、ぜひ当記事を参考にしてください。
不動産投資で自己破産する理由は?
不動産投資は、安定した家賃収入を長期間に渡って得ることができる「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資方法と言われています。
その理由は、株式投資やFXに比べて土地や家賃の価格変動が緩やかであること、また不動産投資のリスクはあらかじめ対策できるものが多いことがあげられます。
しかし、投資である以上は「絶対」はありません。
では不動産投資に失敗し自己破産してしまうのは、どのような理由が考えられるのでしょうか。
ここでは不動産投資で自己破産してしまう理由についてまとめました。
相場よりも高い価格で不動産物件を購入してしまった場合
不動産投資初心者の場合、不動産物件の相場や諸費用の目安額がわからず、業者に言われるがまま、売買契約を締結してしまうことが少なくありません。
そのため、相場よりも高い値段で不動産を購入したり、不必要な諸費用を請求されたりするケースが考えられます。
相場よりも高い物件であっても購入したからには、毎月の家賃収入からローン返済をおこなわなければなりません。
しかし、家賃額が周辺の競合物件よりも高く設定されている場合は入居がつかず、家賃収入を得ることができないため、ローン返済金やランニングコストなどの支出が収入を圧迫し、キャッシュフローが悪化します。
月々の家賃収入から支出をまかなえなくなると手元資金から持ち出すことで当座をしのぐことができますが、空室期間が長くなればやがて資金が尽きてしまい、結局自己破産してしまうことも十分ありうるのです。
不動産投資に必要な初期費用について詳しくはこちら!>>不動産投資の初期費用の種類と目安額!できるだけ安くする方法は?
セールストークにはご注意を!
不動産投資に不慣れな人にとって、不動産営業マンの言葉には注意が必要です。
特に一般の個人投資家に営業してくる物件は、なかなか買い手がつかない割高な物件も多く含まれています。
営業マンは不動産投資のメリットを言葉巧みにアピールしますが、それらは適正な相場価格で物件を購入した場合を前提としています。
割高な物件を購入した結果、不動産投資は赤字が続き、ならば売却して清算しようと考えても購入した額よりも低い価格でしか売れず、ローンの完済ができないため売却することさえむずかしくなってしまうのです。
そもそも優良物件は、営業をかける暇もなくあっという間に売れてしまいます。
頼んでもいないのに営業をかけてくる不動産については、安易にその場で決断せず、価格を含めて内容をしっかりと精査したうえで購入するしないを決めるとよいでしょう。
想定した家賃を得られなかった
前述のように、不動産投資には多くのメリットがありますがリスクもあります。
特に毎月の家賃収入に直結する「空室リスク」や「家賃下落リスク」の対策が不十分な場合は注意が必要です。
そもそも、想定した家賃額が周辺の家賃相場よりも高い場合は入居がつきにくいです。
入居付けのためには家賃を下げることになりますが、そうなると想定していた毎月の家賃収入を得ることができずローン返済がむずかしくなってしまいます。
そうでなくとも賃貸物件は経年とともに劣化し入居率が下がります。
それに合わせて賃料も下げる必要が出てきますが、最初に設定した家賃額が高い場合は経年を待たずに家賃を下げる必要が出るため、さらにリスクが高くなってしまうのです。
不動産投資と空室リスクや家賃下落リスクは切っても切り離すことはできませんが、リスク対策方法は存在します。
そのためにも、まずは適正な家賃額を設定しておくことが非常に重要です。
ランニングコストの見積もりが甘かった
不動産投資の運用中には、さまざまなランニングコストがかかりますが、これら諸費用に対する見積もりが甘い場合は、キャッシュフローが圧迫され赤字になってしまうことも考えられます。
特に中古物件の場合、設備が古く故障が多い、想定したよりも劣化しているなど、突発的な修繕費が発生することも少なくありません。
こういったイレギュラーな出費を想定したうえで、ランニングコストを見積もっておく必要があります。
また、管理会社に支払う管理費や固定資産税といった定期的に決まった額を支払う費用についてもしっかりと計算したうえで確保しておきましょう。
毎月のローン返済が負担になった
金融機関から融資を受けた場合、ローンの返済は毎月の家賃収入から支払いますが、借入金の額によってはローン返済が負担となり自己破産するケースも少なくありません。
不動産投資をはじめるにあたって、多くの人が金融機関から融資を受けて不動産投資物件を購入しますが、物件価格の10%~30%程度の頭金を入れ、残りの額を借入れるのが一般的です。
しかし、ローン契約者本人の年収や物件の収益性を大きく超えて借入した場合や頭金なしで組めるフルローン、初期費用なしのオーバーローンで融資を受けた場合は借入額が大きくなってしまいます。
そのため、毎月の返済額が高く、返済期間が長くなりやすいです。
そういった状況下で空室期間が長く続いたり、設備の故障で想定外の修繕費が必要になったりすると、家賃収入よりもローンの返済や修繕費などの支出が多くなり資金繰りが悪化します。
最終的にはローンの返済が滞りってしまい物件を売却することになりますが、ローンの残債が大きいため売却しただけでは債務を全額返済できない場合も多く、自己破産につながりやすいのです。
フルローンについて詳しくはこちら!>>不動産投資のフルローンはリスクを理解・把握したうえで活用しよう
その他の理由
非常に残念なことではありますが、物件オーナーに落ち度がない場合でも不動産投資が失敗するケースもあります。
例としては、地震や風水害、火災などの災害が原因で所有する不動産物件がダメージを受けた、なんらかの理由で事故物件になったなど、賃貸経営の続行が不可能になったり入居付けがむずかしくなったりする場合があげられます。
各種損害保険に加入していればある程度はカバーできますが、物件の損害は回復できても機会損失などは避けられません。
このように、自然災害によって集客の機会が失われたり、事故物件となってしまったことで家賃下落などの影響で賃貸経営が立ち行かなくなり自己破産してしまう可能性もあることを覚えておきましょう。
自己破産までの流れ
実際に自己破産となるまでには、以下のような流れがあります。
ローン返済が滞り督促状が届く
ローンの返済が滞ると金融機関から何度も督促状が届きます。
延滞が3か月程度続くと金融機関は債権回収不能との判断をくだすため、その前に金融機関に返済期間の延長や金利の引き下げなどの交渉を相談してみましょう。
金融機関が債権をサービサー(債権回収会社)に売却する
金融機関との交渉がうまくいかず、ローン返済の目処が立たない場合は、金融機関がサービサー(債権回収業者)に債権を売却します。
サービサーは、不動産の任意売却や競売をおこない債権の回収をおこないます。
物件を売却しても残債が残った場合は自己破産申請をする
物件を売却しても債務が残った場合は、今後の収入(給与等)から返済していくことになりますが、それでも返済の目処が立たない場合は自己破産の申請をすることになります。
自己破産の決定は、裁判所が債務の支払いが不可能と判断した場合に宣告されます。
マイナスイメージの強い自己破産ですが、借金額が大きい場合、免責決定されれば債務義務がなくなる(借金がなくなる)のは大きなメリットです。
ただし、残債が少ない場合はデメリットのほうが大きくなるため、できるだけ債務を返済する方向で調整するとよいでしょう。
自己破産するとどうなるのか?
自己破産することで、以下のようなメリットもあればデメリットもあります。
債務義務が免除される
自己破産を申請し、裁判所から破産の決定と同時に免責決定も得ることができれば、債務の返済義務が免除されます。
借金がゼロになり、債務の取り立ても気にすることなく再スタートできるのは大きなメリットです。
ただし、税金や弁護士の相談料、罰金、損害賠償などは免責にならないため注意しましょう。
一定以上の価値がある財産を処分する必要がある
自己破産した場合、生活に不必要とされた財産は処分して返済に充てる必要があります。
処分しなければならない資産は、原則として99万円を超えた分の現金、および家や車、貴金属など20万円以上の価値のある資産についてです。
自己破産と聞くと「お金も持ち物もすべて没収される」イメージを持つ人もいるかもしれませんが、99万円までの現金と生活の維持に必要な物品は手元に残されるため、当面の生活は可能です。
一定期間、特定の資格を失う
自己破産の手続きの間、弁護士・司法書士・税理士・宅地建物取引士など、一部の職業は資格がはく奪されるため働くことができません。
なお、免責が決定すれば復職や就職が可能ですが、資格のはく奪期間内に失職する可能性もあることを覚えておきましょう。
H3信用情報機関(ブラックリスト)に登録される
自己破産した情報は、信用情報機関に登録されます。
俗にいうところの「ブラックリストに載る」ことになります。
信用情報機関に登録される情報は、クレジットカードや住宅や車のローンなど、信用度を審査する場合に用いられる情報です。
なお、ブラックリストの掲載から一定期間が経過すれば記録は削除されます。
自己破産の場合は5~10年間掲載されるため、そのあいだはローン全般が組めなくなったり、クレジットカードの使用・新規契約ができなくなるため注意が必要です。
官報に名前が掲載される
官報への名前の掲載も自己破産のデメリットのひとつです。
官報とは、法律や公告などが掲載される新聞のようなもので、自己破産をすると裁判記録として掲載されるため、自己破産の事実が公になります。
官報は休日を除き毎日発行されており、掲載後30日間はインターネット上で、だれでも無料で閲覧できます。
そのため、知り合いがたまたま官報を見た場合、自己破産をしたことを知られる可能性もありうるのです。
不動産投資で自己破産を避ける5つの方法
前述のように自己破産してしまうと、生活はできるかもしれませんが、ローンやクレジットカードが使えなかったり、一定以上の資産を手放さなければならなかったり、さまざまなデメリットがあります。
不動産投資で自己破産をしないためにも、以下の点に留意しましょう。
1.不動産投資の知識を覚える
自己破産までいかなくても不動産投資の失敗には、不動産投資の知識不足が原因の場合が多くみられます。
不動産物件価格の相場の調べ方を知っていれば、業者の提示する価格が相場よりも高いか低いか判断することができます。
不動産投資のランニングコストに、どのようなものがあり、いくらくらい見積もっておけばよいかあらかじめ試算することも可能です。
不動産投資で節税したいなら税制や経理を、建築法を知っていれば「再建築不可物件」など買ってはいけない物件かどうかの判断もできるようになります。
こういった不動産投資の知識があればあるほど、より慎重に物件を選ぶことができるため、不動産投資で成功する確率が高まるのです。
不動産投資の知識を身に着けるには、書籍を読んだり、セミナーに参加するなどさまざまな方法があります。
最近では、気軽に参加できるオンライン不動産投資セミナーがおこなわれることも多いため、一度参加してみるとよいでしょう。
2.不動産投資物件を慎重に選ぶ
不動産投資の成功は、不動産物件の立地によって決まるといっても過言ではありません。
賃貸需要が高い、駅近、周辺環境がよい、周辺に競合物件が少ないなど、入居付けしやすい物件を選ぶとよいでしょう。
もちろん、価格が適正であるか、入居付けに不利な点はないかなど、取得する不動産を適切に評価することも重要です。
3.収支シミュレーションを綿密におこなう
不動産物件を購入する前には、しっかりと収支シミュレーションをおこない、無理なく賃貸経営できるかどうか確かめる必要があります。
想定利回り、経年による空室率や家賃下落率の変動、金利が上がった場合、修繕積立金などをはじめとする諸費用額など、さまざまなパターンを想定したうえでシミュレーションをおこないましょう。
その結果、ローン返済が無理なくおこなえてキャッシュフローに余裕がある物件を選ぶことが重要です。
4.入居付けに強い管理会社を選ぶ
不動産投資のリスクのひとつが「空室」です。
空室期間は家賃収入を得られないため、できるだけ空室期間を長引かせないように、退去者が出たらすぐに次の入居者をみつけなければなりません。
そのためには入居付けに強い不動産管理会社に入居者募集を委託しましょう。
入居付けに強いかどうかは、その管理会社が公開している実績データ(管理戸数、入居率、空室率など)が参考になります。
また、大手賃貸ポータルサイトに物件情報を掲載しているかどうかもポイントです。
最近の入居希望者の多くは、まずネットで物件を検索し、気に入った物件について内見するパターンが増えています。
どんなによい物件であっても、ネット検索でヒットしなければ内見すらしてもらえません。
できるだけ多くの入居希望者の目に留まるよう、ポータルサイトへの掲載は欠かせないのです。
これはと思う管理会社があれば直接訪問し、会社や担当者の雰囲気などを確認したうえで契約を結ぶとよいでしょう。
5.ローン返済額について留意する
不動産投資で自己破産してしまうのは、ローンの返済ができなくなるためです。
もし、ローンの返済がむずかしいと感じた場合は、できるだけ早くローン返済金の負担を軽くするための対策をとることで自己破産にお回避につながります。
ローンの返済負担を軽減させるには、以下のような方法があります。
・金融機関に返済期間延長などのリスケジュール(リスケ)の相談をする
・金融機関に金利の引き下げの相談をする
・金利の低いローンに借り換えを検討する
いずれも金融機関との交渉が必要ですが、赤字になる前にローン返済の負担を軽くする可能性があるため、まずは相談してみましょう。
なお、延滞後の交渉には応じてくれない金融機関もあるため、資金繰りがきびしいと感じたら、できるだけ早い段階で相談することをおすすめします。
まとめ
不動産投資で自己破産する理由のひとつとして、不動産投資の知識不足があげられます。
必要な知識を得ることで、提示される不動産価格や家賃相場が適切かどうか判断でき、不動産投資に不利な物件を購入することもなくなります。
不動産投資の成功は、どれだけ優良な不動産物件を入手できるかにかかっています。
しっかりとした知識を持ち、正しい方法で不動産投資をおこなうことで、自己破産を避けることが可能になるのです。
今回の記事では、不動産投資で自己破産する理由と回避するための5つの方法を解説しました。
ぜひ、当記事を参考にして不動産投資を成功に導いてください。