不動産投資で8つの失敗原因から学ぶ対策方法!手遅れ前にできること
「不動産投資をはじめたいけど失敗が怖い」
「毎月のキャッシュフローが赤字だ」
不動産投資をおこなう上で失敗したくないと思うのは当然のことですが、では、どうすれば失敗を避けて成功できるのでしょうか?
そのためには、あらかじめ「失敗するパターン」を知ったうえで、失敗しない対策をとることです。
今回は、不動産投資で失敗原因となりやすいパターンとその対策方法を紹介します。
また今現在、キャッシュフローの悪化に悩んでいる人に向けての対策についてもまとめました。
これから不動産投資をはじめる人はもちろん、すでに不動産投資を開始している人も当記事を参考にしてください。
不動産投資の8つの失敗原因とそれぞれの対策方法
ここではワンルームマンションや一棟アパートなど、不動産投資の失敗につながる、おもな原因8つを紹介しながら、それぞれの対策方法をまとめました。
失敗原因1:利回りだけ見て物件を購入してしまった
不動産投資が失敗する大きな原因のひとつが、「高利回りだから」という理由だけで需要の低い不動産物件を購入してしまうことです。
不動産投資をおこなう上で重要な指標となる利回りには、いくつか種類があります。
まず、不動産物件情報などに記載されている利回りは「表面利回り」で、物件価格に対する満室時の家賃収入の割合を示すものですが、諸費用(税金や減価償却費など)が反映されていません。
より正確な利回りを把握するためには、諸費用を含めた「実質利回り」を算出し判断する必要があります。
物件購入前の収支シミュレーションをおこなう場合は、実質利回りがいくらになるのか、さまざまなパターンでシミュレーションをおこなうことが重要です。
また、相場よりも利回りが高すぎる物件には注意が必要です。
ごくまれに、売主側ができるだけ早く処分したいという理由から物件価格が大幅に値引きされた「お買い得物件」もありますが、ほとんどの場合はなんらかのデメリットがあると考えましょう。
とくに築古物件の場合は、設備が古く入れ替えが必要だったり、雨漏りしたり基礎部に問題があったりと、購入しても多額のリフォームやリノベーション費用がかかることも。
しかし、最近では「ボロ家を再生して高利回り物件として運用」する不動産投資家も増えています。
高利回り物件が「お宝物件」なのか「お荷物物件」なのか、利回りだけで判断することはむずかしいため購入前には、かならず現地で物件確認をおこないましょう。
失敗原因2:経年よる家賃下落を想定していなかった
不動産投資物件は、購入時に設定した家賃がずっとつづくわけではなく、経年とともに下落していくのが一般的です。
そのため、家賃下落を想定しないまま新築当時の家賃額で収支シミュレーションをおこなった場合、いずれ家賃収入が想定した額よりも減り、キャッシュフローの悪化につながることがあります。
エリアの人口減少率や間取りなどによっても異なりますが、借家住宅の経年劣化による家賃の下落率は年率に換算すると1%程度と、市場関係者のあいだでは言われています。
1年ごとに1%下がるということは、10年後の家賃収入は初年度に比べて10%程度減っている計算になりますから、その差額を収支シミュレーションに反映されていない場合、キャッシュフローに多大な悪影響が及ぶと考えられます。
また家賃下落のリスクは経年劣化だけでなく、周辺の競合物件の増加などによって家賃相場の変化も影響します。
不動産投資物件を選ぶ際の収支シミュレーションでは、通常の家賃下落率を想定するだけでなく、下落率がもっと大きくなったときのパターンを想定しておこなうとよいでしょう。
失敗原因3:家賃滞納されてしまった
入居者の家賃滞納も不動産投資が失敗する原因になります。
空室に比べて家賃滞納の発生件数自体は少ないですが、ひとたび発生すると解決まで時間や労力、費用がかかる非常に厄介なリスクです。
家賃滞納の場合は入居者いるため、会計上では売上(家賃収入)がある状態ですが、家賃が回収できない場合は未収金(債務)として計上され帳簿上は利益となるため、その額には税金がかかります。
滞納者に退去してもらう場合は、3カ月以上の滞納実績がなければなりません。
また、入居者は借地借家法で守られているため、大家さんであろうとも滞納者の部屋に勝手に立ち入り荷物を運び出したり、カギを付け替えたりはできません。
少なくとも、初回の滞納から3か月程度は、書面などで家賃支払いのお願いをおこなったうえで、効果がなければ裁判所に強制執行の訴えをおこなうことになりますが、立ち退きが完了するまでに滞納開始から10カ月ほどはかかると考えられます。
その期間は家賃の回収ができないだけでなく、訴訟費用や強制執行代として30~40万円程度の費用がかかりますし、その間の家賃は支払われていないにもかかわらず課税対象となるのです。
このような家賃滞納リスクを軽減するには、入居審査を厳しくする、家賃保証会社との契約を入居条件にすることです。
特に家賃保証会社と契約することで、滞納が起きた場合は保証会社が家賃を保証してくれ、督促などもすべておこなってくれるため、大家さんは手間や時間がかからずにすみます。
失敗原因4:ひとつに施設に需要を依存してしまった
大学のあるエリアや大企業・工場周辺などの不動産物件は、学生や従業員をターゲットとして安定した賃貸経営がおこなえるというメリットがあります。
ただし、ターゲットとする施設がひとつだけの場合、その施設の移転や縮小などによって、一気に入居者がいなくなってしまい、入居付けに苦労することになってしまいます。
実際、郊外など交通の便の悪いエリアにある大学の学部は、入学希望者の減少を理由に、都心など通いやすい立地に引越したり、学部の入学者数を減らす場合もあります。
そのため入居需要は、ひとつの大学や企業だけに見込むのではなく、それ以外のターゲット層も呼び込めるような不動産物件を選ぶことが重要です。
郊外であっても交通の便がよい、周辺に商業施設がある、安全で住みやすいなど、万人に好まれるエリアの物件がおすすめです。
失敗原因5:競売で物件を購入してしまった
安いと思って購入した「競売物件」で失敗する不動産投資初心者も少なくありません。
競売物件とは、不動産のローン返済をおこなえなくなった場合に担保となっている土地や建物などの不動産を裁判所に差し押さえられ強制的に売却される物件を指します。
競売物件の価格は入札で決まりますが、相場よりも3割程度安い価格で不動産物件を購入できるため、積極的に競売物件を購入する不動産投資家も少なくありません。
ただし、競売物件には一般的な物件とは異なる点がいくつかあるため注意が必要です。
競売物件の情報は、裁判所が作成した「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」のみとなり、物件の内覧はできないため室内を直接確認することができません。
また、競売物件は通常の物件と違って売主がいないため引き渡し義務がありません。
そのため、購入してみたら荒れ放題のゴミ屋敷だったり、不法占拠している居住者がいる可能性もあります。
残置物の撤去やリフォーム・クリーニングで想定していた以上の費用がかかることもあります。
居住者が立ち退きに応じない場合は強制執行をして立ち退いてもらうことになりますが、その際の強制執行手続きをおこなったり、費用を支払うのは物件の購入者になります。
このように競売物件には、安く購入できるというメリットがありますが、それ以上に費用や手間、時間などの面でリスクの高い物件と言えるため、不動産投資初心者にはあまりおすすめできません。
もし競売物件を購入するのであればリスクを十分理解したうえで、安さだけで飛びつかないよう注意が必要です。
失敗原因6:相場よりも高い価格で物件を購入してしまった
不動産会社の営業や不動産投資セミナーで「お買い得」「今しか買えない」という情報を鵜呑みにし、物件を購入したが、あとから「周辺の相場よりも高額な物件だった」という話はよくあります。
相場よりも高く不動産物件を購入してしまうと、周辺の競合物件の家賃相場にあわせてみると利回りが低くなったり、いざ売却しようとなったときには購入時よりもはるかに安い価格でしか売れなかったりとデメリットが大きいです。
不動産投資物件を購入する際には、セールストークに惑わされず、物件の価格が適切かどうかを調べる必要があります。
周辺の不動産価格や路線価などを参考に、検討中の物件価格が相場通りか確認をおこないましょう。
失敗原因7:節税目的で購入してしまった
「節税目的」だけで不動産投資をはじめた場合、失敗の原因につながる場合があります。
不動産投資が節税になる仕組みは、不動産所得が赤字だった場合、本業(サラリーマンの給与所得など)の所得と合算し所得を相殺する「損益通算」をすることで全体の課税所得額が下がるためです。
ようするに、不動産投資が赤字でなければ節税にはつながりませんが、そもそも不動産投資は長期間に渡って安定した家賃収入を得ることを目的とした投資方法です。
そのため、不動産投資物件を選ぶ際には、きちんと収益を得られる物件を選ぶことが重要です。
不動産物件購入初年度は、初期費用などの支払いで赤字になりやすいです。
しかし、物件購入前に収支シミュレーションをしっかりおこなっていない場合、いつまでたってもキャッシュフローが黒字にならず、それどころか修繕などが発生した場合は、その費用を持ち出すことになってしまいます。
節税はあくまで不動産投資をおこなう上でのテクニックのひとつとして、有効活用するに留めましょう。
損益通算について詳しくはこちら!>>不動産投資の損益通算で節税しよう!計算例や注意ポイントを解説
失敗原因8:サブリース内容を確認せずに契約してしまった
「サブリースは賃料保証されているから空室があっても大丈夫」
そんな言葉に惹かれてサブリース契約を結んだところ、「聞いた話と違う」と問題になるケースがあります。
サブリース契約は、不動産会社(サブリース業者)がオーナーに対して空室の有無にかかわらず賃料保証をおこない、賃貸物件を一括で借り上げ、部屋を入居者に又貸しするシステムです。
サブリースは、上手に活用すれば空室対策につながりますが、以下の注意点があることを知らずに契約してしまうと、思わぬ損失やトラブルにつながります。
・賃料保証の見直し期間がある
賃貸物件は経年劣化ととも賃料が下落するため、サブリースの賃料保証も定期的に見直され、ほとんどの場合、経年とともに保証額は低くなります。
ずっと同じ賃料が補償されているわけではないので注意が必要です。
・賃料保証額は一般の80%~90%程度
サブリースの賃料保証額は、周辺の平均賃料に比べて低く設定されることが多いるため、満額の家賃が補償されるわけではないことを覚えておきましょう。
・サブリース解除には違約金が発生することも
賃料保証額の見直しなどに納得できずにサブリース契約を解除する場合、違約金が発生することがあります。
また、提示された家賃保証額などに納得できない場合は、一方的に契約を打ち切られることもあります。
これらサブリースのトラブルは、業者による契約内容の説明が不足していることや故意に説明しないことがおもな原因ですが、一方でオーナーの知識不足や確認不足も原因のひとつです。
サブリース契約を検討する際はメリットとデメリットの知識を学び、契約内容をしっかりと確認し、納得したうえで契約を結ぶことが重要です。
サブリースについて詳しくはこちら!>>不動産投資のサブリース契約にメリットはある!契約前にリスクを把握
不動産投資で失敗した!?手遅れになる前にできること
ここでは、不動産投資が完全に失敗してしまう前にできる方法を紹介します。
不動産管理会社を変更する
空室がつづく場合、入居募集を委託している不動産管理会社や不動産仲介業者が原因のこともあります。
積極的に入居付けをおこなってくれる不動産会社に変更することで、入居者がすんなりと決まる可能性が高まります。
入居管理を委託する会社を決める際には、大手賃貸物件ポータルサイトに物件を掲載しているかどうか、その会社が担当している賃貸物件の数や入居率などをあらかじめ調査したうえで契約をむすぶとよいでしょう。
リフォームやリノベーションをおこなう、人気の設備を導入する
部屋の内装や間取りが賃貸ニーズにあっていないことが原因で空室がつづいている場合があります。
そんなときは、リフォームやリノベーションをおこなったり、入居者に人気の設備を導入することで、物件の価値が上がり入居者を獲得できる可能性があります。
とくに築古物件の場合、和室を洋室に変える、使い勝手の悪い2DKの間取りを1LDKにするなど、入居者が魅力に感じる物件に変更してみましょう。
室内の設備や共有設備をグレードアップすることも空室対策には有効です。
全国賃貸住宅新聞が毎年おこなっている「人気設備ランキング」などを参考に、インターネット無料の設備や宅配ボックスなど入居者に人気の設備を導入するとよいでしょう。
ただし、リフォームやリノベーション、設備の導入には費用がかかるため、物件の築年数やエリアの賃貸需要によっては空室をなくすどころか、ますます赤字になってしまうことも。
リフォームや設備導入の有無を決める際には、費用対効果を十分考慮する必要があります。
ローンの繰り上げ返済や借り換えをおこなう
毎月のローン返済額が負担になっている場合は、ローンの繰り上げ返済や借り換えをすることで、利息総額や月々の返済額を減少できたり、返済期間を短縮することができるため、キャッシュフローの改善につながる可能性があります。
ただし、繰り上げ返済や借り換えをおこなう場合は、以下ような注意が必要です。
・繰り上げ返済する場合は手持ちのキャッシュが必要
そもそも、繰り上げ返済するには手持ちのキャッシュ(自己資金)が必要です。
また、繰り上げ返済することで手持ち資金が減るため、突発な出費(修繕費用など)に対応できない可能性もあるため、資金に余裕がないとむずかしい場合もあります。
・別途手数料などがかかる場合がある
借り換えや繰り上げ返済をおこなう際は、融資元の金融機関や契約内容によっては、違約金の発生や事務手数料・手続き費用が必要な場合があるため、これらの額を必ず確認しましょう。
ローンの借り換えについて詳しくはこちら!>>不動産投資ローン借り換えに適したタイミングやメリット・デメリット
売却も視野に入れる
どんなに赤字解消のための手段を考えても黒字回復できる見込みがない場合は、それ以上の損失を増やさないためにも不動産物件の売却を検討しましょう。
売却損が出てしまうことがわかっていても、そのまま不動産投資をおこなうことでずるずると赤字が増えるよりも、物件を手放して損失を最小限におさえることが重要です。
ここで気をつけたいのが、不動産は売却までに時間がかかることです。
そのため、ようやく物件の売却を決意しても買手が付かない場合は赤字だけが増えてしまうことになるため、売却を決めるタイミングが重要です。
不動産投資に失敗しやすい人の特徴
計画性のない人
不動産投資で収益を得るためには、長期間に渡って賃貸需要が落ちない物件を選び、ローンの返済や税金などの経費を支払いながら、約10年単位でおこなわれる大規模修繕に向けての費用積立てなど、さまざま計画を立てる必要があります。
そして、それらの計画は、不動産物件を購入する前の段階で綿密な収支シミュレーションをおこなったうえで立てておかねばなりません。
今回紹介した失敗例のなかには、物件選びの段階で十分な収支シミュレーションをおこなっていれば避けられた例も多くあることからもわかるように、不動産投資で成功するには「計画性」は非常に重要です。
そのため、計画性のない人や、後先考えずに目の前の利益に飛びついてしまう人は不動産投資に向かず、失敗する確率が高くなる可能性があります。
不動産投資の知識が浅い人
不動産投資についての知識が不足している人は、不動産投資で失敗しやすい傾向にあります。
不動産投資で成功するためには不動産投資の基礎知識(物件選びや必要な費用等)の勉強は欠かせません。
また、税関の知識があれば節税につながりますし、建築法などの知識があれば違法建築などの難あり物件を購入せずに済みます。
逆にいえば、これらの知識が少ない人は、不動産会社のセールストークにのせられて収益につながらない不動産物件を購入したり、大家さんに不利なサブリース契約を結んでしまうことも考えられるのです。
このように不動産投資に絡む各種知識を蓄えることで、不動産投資で成功する確率を上げることが可能になります。
まとめ
不動産投資で失敗してしまうのは、知識や情報が足りなかったり計画が不十分だったりすることが原因です。
失敗しないためには、不動産投資に関る知識や情報を持つことで、間違った不動産物件を購入したり、不利な契約を未然に防ぐことが可能です。
また、不動産物件を選ぶ段階でおこなう収支シミュレーション結果は、長期間に渡って収益を得ることができるか? 途中で収益が減ってしまう可能性があるのか? 判断し、計画するために役立ちます。
しかし、不動産投資は予期せぬ出来事で家賃収入が減ってしまうことも考えられるため、その時々にあわせて対策を講じることも必要です。
今回紹介した失敗例と対策方法を参考に、不動産投資で成功を目指してください。