不動産投資の平均利回りは何%?リスクの高い物件の具体例を解説
2022/06/10

不動産投資の平均利回りは何%?リスクの高い物件の具体例を解説

不動産投資の利回りの種類と計算方法表面利回りとは実質利回りとは物件の種類別の平均利回り相場地域別の期待利回りを紹介築年数別に平均利回りを紹介不動産投資で高利回りになる条件入居率が高い物件立地条件のよい物件こんな物件はNG!高利回りでもリスクが高い物件とは?建物の管理状態が著しく悪い、設備が極端に古い物件再建築不可物件満室を偽装した物件まとめ

不動産投資物件を選ぶ際の重要な指標となるのが「利回り」です。

一般的に利回りが高い物件ほど収益が多くなりますが、単に利回りの数字だけで物件を選ぶのは非常に危険です。


そこで今回は不動産投資の大事な指標である利回りを正しく判断できるよう、利回りの種類や目安となる平均利回りについて解説します。


不動産投資の利回りの種類と計算方法

不動産投資における利回りとは、物件価格に対して、1年で得られる収入や利益の割合を指し、投資用不動産物件を選ぶ上で大切な指標となる数値です。


不動産投資で使用するおもな利回りには、「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があります。

ここでは表面利回りと実質利回りについて、それぞれの意味と計算方法を解説します。


表面利回りとは

年間の家賃収入を不動産の購入価格で割ったものを指します。


【表面利回りの計算方法】

表面利回り(%)= 年間の家賃収入 ÷ 物件の購入価格 × 100


表面利回りの計算には経費は反映されていません。

そのため「物件価格に対して満室時の家賃収入がどの程度得られるか」といった目安的要素が強い数値です。

そのため、実際に物件を運用した際の実質利回りは、表面利回りの半分程度になることもめずらしくありません。


なお、不動産広告に記載されている利回りのほとんどは、この表面利回りなので数値の高さだけで物件を購入してしまうと思わぬ失敗につながるため注意しましょう。


実質利回りとは

物件購入時の諸費用や運用時の経費を反映して計算されるため、「物件購入時の出費に対して、手元に残るお金のおおよその金額」を把握する際の指標となります。


【実質利回りの計算方法】

実質利回り(%)= (年間家賃収入 - 経費)÷( 物件価格 + 諸費用 ) × 100


実質利回りは、実際の収益により近い数値を算出できるのがメリットです。

ただし、家賃以外の諸費用や経費は明確ではないため、あくまでの「実際に近い数値」であることを留意しておき、鵜呑みにしないよう注意しましょう。


物件の種類別の平均利回り相場


グラフ スマホ パソコン

不動産投資と収益物件の情報サイトとして人気の健美家(株)が発表している『収益物件市場動向四半期レポート』によると、2021年7月~9月期の登録不動産における物件種類別(全国)の表面利回り平均は以下のようになります。


【物件種類別平均利回り(全国、表面利回り)】

・区分マンション:7.24%

・一棟アパート :8.54%

・一棟マンション:8.00%

参考:健美家『収益物件 市場動向四半期レポート(2021年7月~9月期)


物件種類別の利回り相場では、一棟アパートの収益率が一番よいことがわかります。

ただし、上記の利回りは新築・中古、地域を区別せずにまとめた平均利回りのため、エリアや新築物件か中古物件かによって平均利回りは変わってきます。


地域別の期待利回りを紹介

不動産投資の利回りは、物件の種類や地域によって違います。

ここでは地域別にワンルームタイプの期待利回りを紹介します。


*なお、期待利回りとは投資家が不動産の購入価格に対して何%のリターン(純賃料)を期待しているのかを意味する利回りで、不動産投資家へのアンケート調査を基に算出されています。


【地域別 賃貸住宅(ワンルームタイプ)の期待利回り】


参考:一般財団法人 日本不動産研究所

第45回不動産投資家調査(2021年10月)


各都市の期待利回りを比較すると、首都圏よりも地方都市のほうが高利回りであることがわかります。

地方の利回りが高くなるのは、物件価格が首都圏と比較すると安いからです。

利回りだけを考えると地方物件のほうが儲かりそうですが、地方の利便性の悪いエリアは入居付けがむずかしく、空室リスクが高くなるため安易に購入するのは危険だということを覚えておきましょう。


築年数別に平均利回りを紹介

折れ線グラフ ビジネスマン 人形

ここでは築年数別の平均利回りを紹介します。


【物件種類・築年別 平均利回り(全国、表面利回り)】


参考:健美家『収益物件 市場動向四半期レポート(2021年7月~9月期)


いずれの物件も、築年数が経つにつれて平均利回りが上昇していることがよくわかります。

これは経年とともに物件価格が下落し、家賃収入が占める割合が大きくなっていることが推測できます。


では単純に築古物件を購入し運用すれば儲かるかというと、そうではありません。

上記の数字は空室率や経費を反映しない表面利回りのため、築年数の経過した物件は管理費や修繕費が高額になりやすく、空室も増える傾向が強くなります。

そのため、利回りだけ見て古い物件に投資すると思ったより収益が得られないこともあるので注意が必要です。


不動産投資で高利回りになる条件

不動産投資で重要な指標となる利回りですが、数値だけ見て物件を選ぶと思わぬ失敗につながることも。

提示されている利回りだけ鵜吞みにせず、「利回りが高くなる要因」を把握したうえで、高利回り物件を選ぶことが重要です。


ここでは、不動産投資の利回りが高くなる物件の条件を解説します。


入居率が高い物件

入居率とは「アパートやマンションなどの物件総戸数に対する入居戸数の割合」を指します。

入居率が高い物件は、それだけ賃貸需要が高い物件であると考えられるため、安定した家賃収入が得られる「高利回り物件」であることが納得できるでしょう。


立地条件のよい物件

不動産投資で成功できるか否かは、物件の立地に大きく左右されます。

好立地物件は賃貸需要が高いため入居率が高まり、家賃収入が増えることで結果的に利益も増加します。


一般的に「好立地」と呼ばれる条件には以下のようなものがあります。

・駅から徒歩10分圏内

・近くにスーパーやコンビニなどがある

・物件周辺に公共施設がある

・再開発予定のエリア(将来的に近隣に駅ができる、繁華街になる)

・職場や学校から近い

・日当たりがよい


逆に、立地が悪い物件であれば入居付けがむずかしいため空室が増え、じゅうぶんな家賃収入が得られません。

一般的に立地の悪い不動産物件は買い手が見つかりにくく、価格を安く設定することで表面利回りは高くなりますが、物件の稼働率や周辺の競合物件の入居状況を調べれば「需要がある立地かどうか」がわかります。


利回りに惑わされることなく、しっかりと立地条件を把握した上で物件を選ぶとよいでしょう。


こんな物件はNG!高利回りでもリスクが高い物件とは?

ビジネスマン 指 バツ印

前述のように表面利回りが高くなっても、高利回りとなる条件を満たしていない場合はじゅうぶんな収益を得られないことも少なくありません。

ここでは「利回りが高くても購入しないほうがよい投資物件」について、具体例を紹介します。


建物の管理状態が著しく悪い、設備が極端に古い物件

建物のメンテナンスや修繕を怠っていたり、何十年も前の設備をそのまま使用していたりする物件は入居者が決まらず、物件価格を大幅に下げている場合があります。


そのため表面利回りは相場よりも高くなりがちですが、修繕や設備の交換に高額の費用がかかり、設備を入れ替えてみたら利回りが大幅に下がってしまうことも少なくありません。


物件購入前はかならず現地に行き、物件と設備を直接確認したり修繕・メンテナンス履歴を確認したりといった調査をしっかりとおこないましょう。


再建築不可物件

再建築不可物件とは、接道義務などを満たしていない建物を指します。

再建築不可物件は改築建築確認申請が不要な範囲でリフォームは可能ですが、建て替えや増築・改築はおこなえません。

しかし、売買は禁止されていないため、相場よりも安い価格の「高利回り物件」として売買されています。


「リフォームできるのなら問題ないのでは?」と思うかもしれませんが、そもそも再建築不可物件には融資がつかないため現金一括で購入する必要があります。

売却時も同様なので、現金で購入してくれる買主が見つからないかぎり売却がむずかしいという大きなリスクがあるのです。


なお、再建築不可物件であっても接道義務を満たせば建て替えできるようになります。

再建築不可物件と接道義務を満たす物件を購入し、ひとつの土地にすれば接道義務を満たせるため、再建築可能な物件として建て替えることが可能です。

ただし、物件ふたつ分の購入費用が必要になるため、おすすめはできません。


また再建築はできませんが、建物を取り壊して更地として活用することは可能ですが、こちらも用途が限られてしまうでしょう。


いずれにしても不動産投資をおこなう上で再建築不可物件を購入するメリットはほとんどないため、できれば避けた方がよい物件と言えます。


満室を偽装した物件

賃貸需要の低い中古物件をオーナーチェンジ物件として売却する際、入居審査の基準を一時的に下げたり、知り合いを「サクラ」として入居させるなど「満室」を偽装し、高利回り物件として売却するケースがあります。


入居者がサクラだった場合は、物件の引き渡しがおこなわれた直後に一斉に入居者が退去してしまい、その後の入居者がなかなか決まらないという事態に陥りかねません。

また入居基準を引き下げたことで、家賃滞納など入居者トラブルの原因になる可能性もあります。


こういった満室偽装を見抜くためには、購入前にレントロール(物件の賃貸借契約状況がわかる一覧表)をチェックすることが重要です。

売買取引の直前に入居者が急増している場合は、なんらかの偽装がおこなわれた可能性が疑われるためじゅうぶん気を付けましょう。


まとめ

不動産投資の利回りの目安となる平均利回りや、高利回りになる物件の条件などについて解説しました。


利回りは取得した不動産投資物件の種類や築年数、所在地などの条件によって変わってきます。

また単純に利回りの数値だけを見るのではなく、入居率や立地条件などもあわせて、本当に高利回り物件かどうか慎重に判断しなければなりません。


特に表面利回りが高利回りの物件は、なんらかの理由で物件価格が安くなったことで高利回りになっている可能性があるため注意が必要です。

きちんと高利回り物件を見つけるためにも、ぜひ当記事を参考にしてください。

一覧に戻る